2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the origin and spread of poultry breeding in East Asia
Project/Area Number |
20H01367
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60452546)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真史 東海大学, 海洋学部, 准教授 (00566961)
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究センター, 客員研究員 (00612433)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ガチョウ / ニワトリ / 動物考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリはセキショクヤケイを、ガチョウはガン族の鳥を家畜化した家禽である。ニワトリの骨は日本列島では弥生時代中期の包含層から確認されているものの、骨そのものを対象とした年代測定は実施されてこなかった。またその導入元と目される朝鮮半島や中国にニワトリがどのように拡散してきたかはよく分かっていない。一方、私たちの研究によって中国の長江下流域では約7000年前からガン類が飼育されていたことが明らかになった。本研究の目的は、中国と韓国の遺跡から出土した骨の複眼的解析から、ニワトリとガチョウの飼育の起源と拡散の様相を解明することを通じて、各時代・地域において「ヒトはなぜ家禽を必要としたのか?」を考察することである。今年度の研究の概要は以下の通りである。 1.中国と韓国における動物骨の出土遺跡のデータベース化を進め、キジ科とカモ科の出土例の収集に努めた。 2.寧夏回族自治区文物考古研究所が調査した紅河流域(中国・寧夏回族自治区)の遺跡出土動物骨を調査し、キジ科資料を確認した。 3.遺跡出土資料との比較のために、実験施設や動物園などに働きかけて鳥類の遺体を入手し、骨格標本を作成した。また、山階鳥類研究所や奈良国立文化財研究所、国立科学博物館などの国内、およびウォルター・ロスチャイルド動物学博物館、ヨーク大学、シェフィールド大学などの海外の鳥類骨標本を収蔵している研究施設を訪れ、骨格標本の観察・計測をおこなった。 4.中国や韓国の遺跡から出土する資料との比較のために、和蘭商館跡(長崎県長崎市)、カラカミ遺跡(長崎県壱岐市)、唐古・鍵遺跡(奈良県田原本町)、大坂城下町跡(大阪府大阪市)、東京大学本郷構内の遺跡・経済学部地点(東京都文京区)などの遺跡から出土した鳥類遺体を分析した。とくに唐古・鍵遺跡出土のキジ科資料の分析では、紀元前4世紀~同3世紀のニワトリのヒナの骨を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス蔓延の影響で予定していた中国・韓国における資料の現地調査は十分には実施できなかった。しかし、遺跡出土動物骨データベースと比較骨標本の拡充を進めており、渡航環境が整った際に速やかに調査が実施できるような体制の構築を進めているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
中国や韓国の研究機関が新型コロナウィルス蔓延の影響から脱却し、スムーズな調査受け入れが可能となり次第、両国での資料調査を実施する。渡航環境が整うまでは、中国と韓国における動物骨の出土遺跡のデータベース化、遺跡出土資料との比較のための骨格標本の作成、中国や韓国の遺跡資料との比較のための国内の遺跡出土鳥類骨の分析を進める。
|
Research Products
(11 results)