2022 Fiscal Year Annual Research Report
地域運営組織を核とした農山村型連帯経済モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
20H01395
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50379616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貝 健二 北海学園大学, 経済学部, 教授 (00547838)
澤端 智良 茨城キリスト教大学, 経営学部, 准教授 (00782674)
佐久間 康富 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30367023)
立見 淳哉 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50422762)
渡辺 理絵 山形大学, 農学部, 准教授 (50601390)
嵩 和雄 國學院大學, 観光まちづくり学部, 准教授 (60528818)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 田園回帰 / 関係人口 / 地域資源 / コミュニティ / 農山村 / 連帯経済 / CSV |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ禍による影響が限定的になった一方,引き続き海外現地調査は延期をせざるを得なかった。実施項目ごとの進捗は以下のとおりである。(A)連帯経済にもとづく地域資源活用の理論的精査では,コンヴァンシオン理論の検討を軸に価値と価値づけに関する理論動向を捉える作業を行なったうえで,社会連帯経済の地域経済発展理論としての展開を検討した。加えて,フランス・ランス大学に籍を置く研究者とオンラインでコンタクトを取りながら,フランスにおける社会連帯経済の先行研究を整理し,具体的事例を取り上げたものに焦点を当て精査をした。(B)地域資源活用の変容実態の解明では,空き家の地域資源化に着目をして,高知県奥四万十地方において「空いていない空き家」問題を解決するための行政による空き家の借り上げ転貸事業の事例研究を主に行った。また北海道滝川市および美瑛町における空き家の利活用についてのヒアリングも行った。 (C)共通価値の構築プロセスの実態把握では,第一次コミュニティブームで設立された山形県鶴岡市三瀬地区,第二次コミュニティブームで設立された酒田市日向地区を例に,地域運営組織としての共通価値の構築プロセスとそこに介在する再編過程の実態を明らかにした。また「連帯」が特定の地理的範囲においてどのように紡ぎだされるのかについて,岩手県花巻市高松第三行政区ふるさと地域協議会を対象に調査を行った。一方,民間企業の地域へのアプローチについて,日産自動車と茨城県高萩市による連携協定締結までのプロセスや都道府県と民間企業の包括連携協定の実態を把握した。さらに研究協力者による企画である日本農業新聞北海道版キャンペーン「つなぐ歴史を未来へ」では「多様な担い手たち」などをテーマにした連載が取り組まれ,2022年度農政ジャーナリスト賞を受賞した。なおメンバーによる研究集会はオンラインおよび現地で合計2回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度はコロナ禍による影響が限定的になったこともあり,日本国内における研究活動の進捗は充分であった,しかしながら研究代表者および研究分担者の新型コロナウィルス罹患・濃厚接触者認定などにより予定していたフランスでの現地調査が実施できないことが判明し,研究遂行上で不可欠な「(A2)フランスなど先発地域における連帯経済の政策体系の検討」が再調整の結果,フランスでの現地調査を延期する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は最終年度であるため,コロナ禍で遅れ気味になっている研究プロセス,特に「(A2)フランスなど先発地域における連帯経済の政策体系の検討」の確実な実施を計画する。また研究計画として最終年度に設定をしている「(A3)日本型連帯経済モデルの構築(ディスカッション)」を通して,「コミュニティと経済の接点」に関わる書籍出版を企図し,その企画案の作成及び出版社との調整を進める。具体的には地理学,農村計画学,建築学などの分野をはじめ,コミュニティビジネスや地域運営組織をはじめとするコミュニティベースの経済主体に関心がある関連諸分野の研究者や行政担当者,NPO職員など実務家に届けることを出版目的とし,フランスなどですでに展開が進んでいる社会連帯経済が,日本の地域運営組織や地域づくり事業協同組合や労働者協同組合といった主体によるコミュニティビジネスを考える上での参照軸として有用であることを届けることを目的とする。さらに「(A4)日本型連帯経済モデルの社会実装検討(地域づくりの現場や政策決定プロセスへの参画)」について,研究代表者,研究分担者および研究協力者が兵庫県香美町,鳥取県鳥取市鹿野町,山形県鶴岡市,山形県酒田市,兵庫県丹波篠山市などにおいて進める。
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