2020 Fiscal Year Annual Research Report
Scholars in constitutional transitions
Project/Area Number |
20H01418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 健治 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40176160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 慎司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00468597)
宍戸 常寿 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)
岡野 誠樹 立教大学, 法学部, 准教授 (50756608)
西村 裕一 北海道大学, 法学研究科, 教授 (60376390)
山羽 祥貴 東京都立大学, 法学政治学研究科, 准教授 (80844787)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦後憲法制定過程 / 戦後第一期改憲論 / 内大臣府 / 憲法問題調査委員会 / 憲法調査会 / 佐々木惣一 / 宮沢俊義 / 黒田覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクトの初年度からコロナ禍に巻き込まれ、研究合宿を通じての研鑽や、全国に散在する一次資料へのアクセスが不可能になったことは、それらを必要不可欠なものと考える本研究の趣旨からいって、きわめて厳しい船出となったといわざるを得ない。 にもかかわらず、研究分担者・研究協力者がそれぞれの研究拠点で、アクセス可能なアーカイブや研究資料について地道な研究活動を続ける一方、態勢を立て直してオンライン研究会を精力的に行い、どうにか研究を軌道にのせることには成功したといってよい。 特に、昭和戦前・戦中期に京都帝国大学の看板憲法学者として活躍し、戦後は東京都立大学を拠点に内閣憲法調査会専門委員として研究活動や資料作成に尽力した黒田覚については、ほかならぬ本研究が初めて古本市場より発掘に成功した旧蔵書やノート類と、かつて本人が生前神奈川大学に寄贈したノートや原稿類とが、実は相互補完的な関係にあることが明らかになり、それらの研究を通じて黒田の理論形成と政治関与の実相が、明瞭な像を結びつつある。その結果として。戦前の近衛新体制における「政治革新」と、戦後の内閣憲法調査会における第一期改憲論とをつなぐ準線が、浮かび上がってきた。 他方で、大正デモクラシー期の代表的憲法学者で、瀧川事件(京大事件)以降は黒田とは対照的にアウトサイダーとして存在感を維持した、佐々木惣一による内大臣府御用掛としての憲法改正作業と、これに対する内閣の憲法問題調査委員会サイドからの(とりわけ宮澤俊義による)批判についても研究が進展し、興味深い展開になっている。 当面は苦しい状況が続くが、コロナ明けにおける飛躍の地固めとして、現在可能な研究を着実に前に進めるべく、引き続き努力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年9月24日にキックオフ・ミーティング、同年12月19日と2021年3月9日には、理論研究会と歴史研究会を各回一本ずつ、二本立ての形で開催した。報告担当者は、第1回理論研究会が石川健治、第1回歴史研究会が高見勝利、第2回理論研究会が小島慎司、第2回歴史研究会が石川健治で、各報告に対しては参加者の研究特性がよく現れた活発な発言が相次ぎ、順調な滑り出しとなった。コロナ明けの各人の調査に備えて、原資料の所在についての情報の提供と共有も、積極的になされている。本年5月23日にも、第3回の理論研究会と歴史研究会がそれぞれオンライン開催されることになっており、今後の展開が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、各人の研究拠点で利用可能なアーカイブを中心に基礎研究を進めるとともに、オンライン研究会を通じた情報共有と意見交換を活性化させて、コロナ明けに備えたい。
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Research Products
(8 results)