2020 Fiscal Year Annual Research Report
Nationality and Residence: A Study on the Cross-border Movement of People under Globalization
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20H01422
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
興津 征雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 圭介 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00612392)
RIMINUCCI Michela 神戸大学, 国際連携推進機構, 特命講師 (00734899)
八田 卓也 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40272413)
濱本 正太郎 京都大学, 法学研究科, 教授 (50324900)
関根 由紀 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60379493)
大西 楠・テア 専修大学, 法学部, 准教授 (70451763)
渕 圭吾 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90302645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国籍 / 住所 / 正統性 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響を受けて、研究計画が大幅に狂ってしまった。特に、国内外の往来がほとんどストップすることとなり、予定した外国出張や外国人研究者の招聘をすべて取りやめざるをえなくなった。なかでも、本研究の柱と位置づけていた、国際公法学会年次総会に参加し、パネル報告を行って世界中の研究者からフィードバックをえるという作業が、同総会の中止により、できなくなってしまったのが痛手だった。そのため、研究の方法を、研究代表者および研究分担者による文献調査中心の研究に切り替えざるをえなかった。もっとも、その方法による研究成果は、着実に挙げることができたと考えている。 まず、研究代表者である興津は、正統性概念について、行政法のみならず法哲学や政治哲学などの議論をも参照しつつ分析する論文を公表し、本研究の理論的バックボーンを構築することができた。在外国民最高裁判所裁判官国民審査権訴訟のために意見書を執筆することを契機に関与したことから、同訴訟の東京高裁判決に関するコメントを公表したことも、「国籍と住所」研究の現実的応用として大きな意義を有すると考えている。 そのほか、研究分担者の八田は民事訴訟および国際商事仲裁について、「国籍と住所」の観点から分析する論文を公表した。関根は、外国人の社会保障に関するフランス語論文を公表した。大西は、ドイツの家族政策および移民法制について論文および共著書を公表した。渕は「私人による公益実現の位置づけ」についての論文を公表したが、その執筆の過程で興津と意見交換を行い、興津の研究にも裨益するところが大きかった。リミヌッチは、イタリアおよびEUの労働法制について外国語の共著書を公表した。近藤は法多元主義に関する法理学的研究を行い、論文公表および国際学会での発表を行った。濵本は国際投資紛争解決に関する英語論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大のために、予定していた国内外の出張を取り止めざるを得ず、国内外の研究者との意見交換や、研究成果の発表の場が十分に確保できなかった点では、進捗状況にやや遅れが見られるものの、前述のとおり研究方法を文献研究に切り換え、成果は着実に挙げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2回の繰越しが認められたため、本報告書を執筆しているのは2023年5月であるから、今後の研究の推進方策として2023年度の計画を記すことにする。2023年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響も一段落し、国内外の出張を含めて予定していた研究活動を再開することができると目論んでいる。 2023年度の最も大きな計画は、7月にニュージーランド・ウェリントンで開催される国際公法学会年次総会に参加し、パネルにおいて本研究の成果を報告することである(パネルはすでに応募し、採択済み)。そのほか、国内外の研究者にインタビューを行ったり成果を発表してフィードバックを受けたりするために、適宜出張を行う。 また、2023年度は、本研究がいよいよ最終年度を迎えることから、まとまった形で研究成果を発表することを目指す。具体的には、研究成果を収録した論文集、研究成果を一般向けまたは学生向けに解説した入門書またはケースブック、および研究成果を反映させた行政法の理論的教科書 の作成を計画しており、出版に至れば、それを関連分野の研究者や実務家に頒布してフィードバックを得ることも計画している。
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