2020 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植法制・法政策の包括的再検証―改正法施行10年目の現況を踏まえた提言
Project/Area Number |
20H01430
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 輝之 成城大学, 法学部, 教授 (00182634)
湯沢 賢治 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), なし, 部長 (10240160)
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
西村 勝治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60218188)
佐藤 雄一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70326031)
平野 美紀 香川大学, 法学部, 教授 (70432771)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 臓器移植法 / 臓器移植 / 生体移植 / 脳死 / 臓器売買 / 児童虐待 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる令和2(2020)年度は、研究代表者および研究分担者全員による研究会を開催し、今後の研究計画、ならびに臓器移植法改正の重要論点として、(1)虐待を受けた可能性のある児童からの臓器摘出の制限、(2)知的障害者等からの臓器摘出の制限、(3)臓器提供に関する情報提供のあり方、(4)臓器移植に関する普及啓発のあり方、(5)移植コーディネーターの確保・教育方法、(6)ドナー家族の支援体制、といった諸課題があることを確認した。その上で、本プロジェクトにおいて、これらの諸課題について各自検討を進めていくための計画・手順を検討し、研究を開始した。 さらに、近い将来にわが国でも現実化する可能性のある「子宮移植」という新たな領域について、日本医学会・子宮移植倫理に関する検討委員会のメンバーでもある研究分担者の協力を得ながら、予想される問題点とそれらへの対応可能性に関する分析を行った。特に、(1)ドナーは生体か、あるいは死体か、(2)ドナー年齢に制限を課すべきか、(3)ドナーからの摘出手術の危険性、(4)子宮保存期間をどのように定めるか、(5)出生児の福祉の問題(障害がある場合など)、(6)代理懐胎との比較、といった、従来の臓器移植では十分に、あるいは全く顧慮されたことのない論点が多く存在することが明らかになり、子宮移植を臓器移植法改正の対象項目とすべきなのか、あるいは全く異なる規制の対象とすべきなのか、ということも含めて、今後継続的に議論を深めていくこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で予定していた海外での訪問調査を実施することはできなかったが、オンラインによる研究代表者・分担者相互の、さらにはゲストの参加による研究会を重ねることができ、当初に予定していた臓器移植法改正における論点の多くについて、各自検討を深めることができた。特に、虐待を受けた可能性のある児童からの臓器摘出の制限に関しては、小児専門医が報告する他プロジェクトの研究会への参加が認められ、有益な意見交換を行うとともに、今後の研究上の交流も実施されることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器移植法改正の論点のうち、上記(1)に関する調査を進めるとともに、それ以外の論点についても、多様な分野の実務家・研究者の協力を得ながら、検討を重ねる。コロナ禍のために海外での訪問調査がどこまで可能かは不透明であるが、国内で実施可能な研究会等によって情報収集ならびに問題点の理解の深化に努めることとする。
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Research Products
(8 results)