2020 Fiscal Year Annual Research Report
New Developments in the Liberal World Order: How do the Non-Western Countries Respond to the Backlash against Globalization in the West
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20H01462
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
草野 大希 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90455999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 久洋 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (20385959)
冨田 晃正 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (30781679)
勝間田 弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40579108)
舛方 周一郎 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40734538)
湯浅 剛 上智大学, 外国語学部, 教授 (80758748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リベラル国際秩序 / 反グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題の初年度にあたるため、2020年5月末に研究代表・分担者・協力者とオンライン・ミーティングを実施し、全体の計画、方針、スケジュール、各自の具体的テーマなどについて打ち合わせを行った。結果として、(1)本研究は「2つの軸」、①西側(とくに米国)におけるグローバル化へのバックラッシュ発生の経緯と原因の解明、②非西側世界(アフリカ、中東、東南アジア、ラテンアメリカ、ロシア)による西側でのバクラッシュに対する「対応(responses)」についての考察に基づき進めてゆくこと、(2)海外研究者との共同研究(とくに非西側世界の事例について)を模索する、(3)研究成果の集大成を洋書出版および国際シンポジウム開催という形で公表すること、について理解を共有した。 これを受けて、各自(研究代表・分担者・協力者)が、各自の分担の下、文献・資料収集調査に着手し、それぞれ一定の研究実績を残した。草野は、米国政治外交における反リベラリズムの動きや反グローバル化ついて調査、研究を行い、日本平和学会での学会発表を行った。加えて、洋書プロジェクトの進行全体を統括しつつ、担当章についての調査・研究を進めた。勝間田は、主として洋書プロジェクトの担当章の調査、研究を進めた。冨田は、米国の政治経済面における反リベラリズムの動きや反グローバル化ついて調査、研究を行い、学会誌『アメリカ研究』で論稿を発表した。加えて、洋書プロジェクトの担当章の調査、研究を進めた。舛方は、米国・ブラジル関係に関する英葡日の文献、外交資料、新聞雑誌記事などの渉猟を行い、ボルソナーロ政権の外交戦略にかかわる研究成果を学会(日本国際政治学会、ブラジル日本研究国際学会)にて発表した。加えて、洋書プロジェクトの担当章の調査、研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、研究計画の一部の修正(研究分担者の変更を含む)を余儀なくされた。しかし、本年度中に軌道修正を図り、且つ、上記した本研究の「2つの軸」に関する具体的なテーマや論点がかなり明確になってきたので、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断できる。この点は、洋書プロジェクトの執筆陣が年度内に決定したことに示されている。分析枠組みを含むIntroductionは草野と勝間田が、西側におけるバックラッシュを論じるChapter1は草野・勝間田・冨田が担当することとなった。非西側世界の対応を検証する章としては、①エジプト(金谷美沙:中東調査会)、②ブラジル(舛方)、③ASEAN(シンガポール、中国在住の海外研究者)、④日本(米国在住の海外研究者)、⑤ロシア(ロシア在住の海外研究者)、⑥中国(豪州在住の海外研究者)に依頼することが確定した。 これを受け、草野と勝間田は、リベラル国際秩序論や反グローバル化に関わる先行研究調査と、非西側諸国の「対応」に関わる行動類型モデルについての精緻化を行った。さらに、草野については、冷戦終結後からトランプ政権に至るまでの米国のリベラル外交の拡張に伴う問題点を、「保護する責任」などを事例に考察した。冨田は、リベラル国際秩序と米国の通商政策との関係性を捉える研究を、NAFTAやWTOシアトル会議、同時多発テロ、TPPなどに着目し、進めた。舛方は、南米のトランプとも呼ばれた、ボルソナーロ政権の外交戦略についての考察を精力的に進めた。 他方、本年度のみ研究分担者を担った近藤は、反グローバル化のさらなる高まりにも繋がったコロナ禍の影響を開発援助の観点から考察した。たとえば、新興国(非西側世界)の一部が始めたマスク外交・ワクチン外交に着目し、それらが西側主導の多国間主義にどのような影響を及ぼすのかについて分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、洋書プロジェクトの推進を図ると同時に、研究代表・分担者の各自が行う研究を遂行し、学会や学術誌等での成果発表を行うこととする。当該年度も、新型コロナウイルス感染症が終息する見込みは低い。このため、海外出張は困難であり、各自は日本国内またはオンラインを駆使した調査・研究・成果発表を行う予定である。海外共同研究者との交流も含め、オンラインになる可能性は高い。なお、2020年11月の米大統領選挙の結果、西側における反グローバル化のアイコンでもあったトランプ氏が再選されなかったことにより、洋書プロジェクトにおいては、基本的に「トランプ政権期まで」を考察対象とすることにした。これにより、当該年度中に第1稿の提出を依頼する予定である。 2022年度は、洋書プロジェクトを完成(年度後半の見込み)させると同時に、研究代表・分担者の各自が行う研究を遂行し、学会や学術誌等での成果発表を行うこととする。加えて、研究代表・分担者は、反グローバル化を緩和させ、リベラル国際秩序の復活を公言するバイデン政権下の動向にも注視することとする。 最終年度の2023年度は、洋書プロジェクトの内容とバイデン政権下の動向を踏まえた国際シンポジウムを日本において開催し、本研究の総括を行う予定である。
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