2021 Fiscal Year Annual Research Report
都市インフラの需要と維持整備水準および財源調達を同時最適化する地点別税・料金設計
Project/Area Number |
20H01486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 達仁 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00344713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 燈 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (30725255)
毛利 雄一 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (60246692)
中島 賢太郎 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (60507698)
馬奈木 俊介 九州大学, 工学研究院, 教授 (70372456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市インフラ / 財源調達 / 税 / 料金 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラの効率利用のための税や料金による需要管理と税や料金によるインフラ整備・維持費用の効率的調達のための研究として,新潟県と日本全国を対象に,道路ネットワークの動学的維持管理の最適化分析を行っている.従来の研究が行っているライフサイクルコストの最小化ではなく,メインテナンスに必要な税負担の社会的費用も考慮した社会厚生の最小化である.具体的にはMCFを考慮して社会厚生を最大化する長期最適補修施策を橋梁を例に検討する.家計のモデルに世代重複モデルを利用し,補修施策によって社会厚生が変化する動学的経済モデルを用いた.新潟県を対象に行った数値分析の結果,健全度IIの橋梁は補修せず,健全度IIIの橋梁を50%補修し続ける施策が最適となった.国土交通省が推進している健全度IIとIIIの橋梁を100%補修する施策とは異なる結果となった.さらに最適補修施策において将来世代が現世代よりも効用が高いことが示された.これらは,財政制約が考慮されており,税の死荷重であるMCFの存在によりライフサイクルコスト最小化とは解が異なっている. また,都市内の鉄道について異質な通勤者が存在する複数の居住地をもつ線形単一中心都市を考慮し、各通勤者の出発時刻 選択と立地選択の分析を行っている.ここで,異質な通勤者とは所得や時間価値などが異なる通勤者の ことを意味する.理論分析では立地状態を所与とした際の短期均衡状態における出発時刻選択と各列車内で 発生する混雑費用の関係を求めた.また長期均衡状態では,短期均衡状態で所与とした立地パターンが存在す るための必要条件を示した.定量分析では,等価変分を用いて最善料金を行うことによる社会厚生の改善度合 いを示し,各立地パターンごとでの最善政策の効果の大きさの違いを明確化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所の計画通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
インフラマネジメントの研究では,財政制約を考慮のもとで,動学的に長期間の補修施策を最適化する計算を行った.最適補修施策は必ずしも定常状態で補修費用が最小となる施策に一致するとは限らない.初期の健全度分布や劣化確率,時間割引率の影響を受けることが示された.今後の展開としては,補修施策の候補を連続的な補修割合で求めることを検討する.現在のところ,計算コストの観点から,補修施策の候補として3種類の補修割合(0%,50%,100%)のみを与えた.本研究では,社会厚生関数が必ずしも凹関数になっていない.そこで,関数の特性を計算を行いながら把握して,連続的な補修割合を求めることを検討する.さらに税制の最適化は本研究で明らかになった世代間の公平性に対する政策検討を行う.例えば,現世代で公債を発行して将来に増税することで返済することを検討する.公債発行によって現世代の負担となる1期目の高額な補修費用を将来世代と分担可能になる.最適補修施策の提案において効率性に加え,公平性も考慮できる.また,動学的に税制を最適化することも今後の課題である. また,都市内の鉄道についての研究については,現実データに基づいた分析を行う.現実の通勤データは,駅への出入りとその時間といった限られた情報しかない.これらを理論モデルに対応させて,どの程度まで現実データに基づいた分析が行えるかの検討を行う.
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] The long-run effects of congestion tolls, carbon tax, and land use regulations on urban CO2 emissions.2022
Author(s)
Domon, S., Hirota, M., Kono, T., Managi, S., Matsuki, Y.
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Journal Title
Regional Science and Urban Economics
Volume: 92, 103750.
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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