2020 Fiscal Year Annual Research Report
政策的不確実性と模倣に直面する企業のイノベーション・生産活動と地域経済統合の役割
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20H01507
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
春名 章二 福山大学, 経済学部, 教授 (30136775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 星源 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (10304081)
浅野 貴央 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40423157)
澤田 有希子 龍谷大学, 経済学部, 講師 (50822227)
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60345452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政策的不確実性 / 国際共同研究 / 模倣被害 / 国際技術移転 / 環境イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年に実施した研究実績の概要は以下の通りである. ①企業の海外展開に対する政策的不確実性(PU)の影響と「深い」地域貿易協定(DRTA)の役割: 企業の海外展開に対するPUの影響に関する理論分析では関連する先行研究の検討を行いつつ,モデル構築を進めた.他方,企業のミクロデータを用いたPUの企業の海外展開への影響やDRTA締結の効果に関する実証分析向けてデータの収集と整備そして分析枠組みの検討を進めた.更に,DRTAの現状と効果に関する分析を行い,研究成果を論文にまとめて査読付学術専門誌に公表した. ②国際共同研究・技術移転に対するDRTAの効果:DRTAによる知的財産保護の強化がDRTA加盟国の企業間における技術移転に及ぼす効果に関して,まずは理論分析と集計データを用いた実証分析を行い,研究成果を研究会や学会で報告し,ディスカッション・ペーパーとして公表した上で,査読付国際学術専門誌に論文を投稿した. ③模倣被害がR&D・海外展開に及ぼす影響とDRTAの役割:本テーマの研究を実施するために,特許庁から模倣被害実態調査の個票データと経済産業省から企業活動基本調査・海外事業活動基本調査の個票データの提供を受け,分析用のデータセットの構築作業を進めた.他方で,中国側の通関データと企業レベルデータに関するデータセットの構築作業を進めた. ④環境政策・DRTAが環境イノベーション・技術移転に与える効果:主として寡占競争の理論モデルをベースにした多段階ゲームによる理論分析を行うことを目的とする.特に,汚染の越境排出,環境イノベーション,技術のスピルオーバー等の要素を組み込み,環境政策の効果,DRTA締結の効果に関する分析,国際混合寡占に拡張した分析等を行うことを目指し,本年度は文献や関連情報の収集とそれらの読み込みを主に行った,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由: 新型コロナウイルスの感染拡大による海外出張の中止,データの利用申請手続きに要する時間の増大,在宅勤務の増加によるプロジェクトチーム内での協働作業に要する時間の増大,RAの在宅勤務による作業範囲の制約等により,研究計画の進捗に少し遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究の推進方策は以下の通りである. ①企業の海外展開に対するPUの影響とDRTAの役割: 企業の海外展開に対するPUの影響に関する理論分析について,これまでの検討内容を踏まえて,モデル構築を進め,予備的な分析を行う.また,企業のミクロデータを用いた実証分析では,データの整備と予備的な分析に着手する. ②国際共同研究・技術移転に対するDRTAの効果:既に論文にまとめた研究成果の査読付国際学術専門誌掲載を目指して論文のブラッシュアップを図る.DRTAによる知的財産保護の強化がDRTA加盟国の企業間の国際共同研究に及ぼす効果に関しても分析を行う.更に,ミクロデータの用いた実証分析を行えるようにデータの整備を進める. ③模倣被害が企業のR&D・海外展開に及ぼす影響とDRTAの役割:日本側及び中国側のミクロデータを基にデータセットの構築作業をより一層進めて予備的分析に着手する. ④環境政策・DRTAが環境イノベーション・技術移転に与える効果:当該年度に行った文献や関連情報の収集とそれらの読み込みを踏まえて,基礎的な理論モデルの構築と予備的な分析を進める. なお,次年度も引き続き新型コロナウイルスの感染拡大によって研究遂行上様々な制約が予想されるために,当初の研究計画の適宜変更を視野に入れ,状況に応じて必要な対策を講じながら研究を推進していく.
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Research Products
(4 results)