2020 Fiscal Year Annual Research Report
テキストマイニングの手法を活用した有価証券報告書の実態分析および実証分析
Project/Area Number |
20H01561
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
伊藤 健顕 甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (00709496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉉玉 東京経済大学, 経営学部, 教授 (40547270)
矢澤 憲一 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70406817)
佐藤 圭 甲南大学, 経営学部, 講師 (80826602)
廣瀬 喜貴 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (90760265)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ディスクロージャー / テキストマイニング / 有価証券報告書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,企業の開示している記述情報に対して,テキストマイニングのアプローチを用いて分析することでその開示実態を明らかにし,さらに有用性(価 値関連性,経済的帰結等)を検討することである。 2020年度は有価証券報告書に記載される記述情報について,1本研究で用いる記述情報に関するデータベースの構築,2テキストマイニングの技術を活用した長期的かつ包括的な分析,3決算短信におけるコロナウイルス感染症に関連した情報開示に注目し分析を行った。2の結果,有価証券報告書の記述情報は全体的に増加傾向にあり、近年では特にMD&A とガバナンス情報において顕著な増加傾向が見て取れた。また,MD&Aやリスク情報は業績や財政状況がテキスト情報の量やその質と関係していることがわかった。この点について学会報告を行った。3の結果,共起ネットワークの分析から,多くの企業にとって決算単身の中心的な内容が「COVID-19の感染拡大が売上高と資金,および財政状態にどのような影響を与えたのか」であったことが明らかになった。さらに,センチメント分析から,売上高が減少した企業そして次期の業績予想を開示しなかった企業ほどコロナウイルス感染症に関連した単語や不確実性に関連した単語を多く使いながら相対的にネガティブに説明していること,決算短信の開示が遅れた企業ほどコロナウイルス感染症に関連した単語を多く使っておりその説明もネガティブであること,一方で事前にBCP(事業継続計画)を開示した企業ほど不確実性に関連した単語の使用が多く,かつその説明がポジティブであることが観察された。この点について論文執筆を行った。以上のように学会報告および論文執筆を通じて研究成果の蓄積ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は有価証券報告書に記載される記述情報について,1本研究で用いる記述情報に関するデータベースの構築,2テキストマイニングの技術を活用した長期的かつ包括的な分析,3決算短信におけるコロナウイルス感染症に関連した情報開示に注目し分析を行った。これらについては上記の通り学会報告および論文投稿も済ませているため研究進捗は概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては引き続き有価証券報告書を中心とした,記述情報の有用性について分析を行う予定である。基本的にはテキストマイニングの手法を活用した実証分析が中心であるが,研究分担者の専門も活かし実験研究など異なったアプローチでの分析の可能性も検討している。それぞれの研究結果がまとまり次第,学会報告や論文投稿を行い,研究成果の蓄積をしたいと考えている。
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