2021 Fiscal Year Annual Research Report
テキストマイニングの手法を活用した有価証券報告書の実態分析および実証分析
Project/Area Number |
20H01561
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
伊藤 健顕 甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (00709496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉉玉 東京経済大学, 経営学部, 教授 (40547270)
矢澤 憲一 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70406817)
佐藤 圭 甲南大学, 経営学部, 講師 (80826602)
廣瀬 喜貴 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (90760265)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ディスクロージャー / テキストマイニング / 有価証券報告書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,企業の開示している記述情報に対して,テキストマイニングのアプローチを用いて分析することでその開示実態を明らかにし,さらに有用性(価値関連性,経済的帰結等)を検討することである。 2021年度は有価証券報告書に記載される記述情報について,①テキストマイニングの技術を活用した長期的かつ包括的な分析,②経営者交代と記述情報の関連性に注目し分析を行った。①の結果は以下の通りである。有価証券報告書の記述情報は全体的に増加傾向にあり、近年では特にMD&A とガバナンス情報において顕著な増加傾向が見て取れた。また,MD&Aやリスク情報は業績や財政状況がテキスト情報の量やその質と関係していることがわかった。特に、財政状況や業績の悪い企業ほど開示量が多く、業績の良い企業の可読性が高いとの結果は先行研究とも整合的である。さらに,業績の良い企業ほどMD&Aの記述情報がポジティブになっていた。また,企業の規模はMD&Aやリスク情報だけではなくガバナンス情報とも関係していることがわかった。その他,監査を受ける監査法人の大きさや企業の上場マーケット、そして会計基準なども企業の記述情報と関連していた。これらの点について学会報告および論文執筆を行うことができた。また,②の結果,経営者交代によって記述情報のスティッキネス(過年度の記述情報の再利用度合い)が低下するとともにその可読性が向上すること,さらに記述情報のトーンがポジティブになることが明らかになった。この点について学会報告を行った。以上のように論文執筆や学会報告を通じて研究成果の蓄積ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は有価証券報告書に記載される記述情報について,①テキストマイニングの技術を活用した長期的かつ包括的な分析,②経営者交代との関連性に注目し分析を行った。これらについては上記の通り学会報告を行い,論文投稿も済ませているため研究進捗は概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度においては引き続き有価証券報告書を中心とした,記述情報の有用性について分析を行う予定である。基本的にはテキストマイニングの手法を活用した実証分析が中心であるが,研究分担者の専門も活かし実験研究など異なったアプローチでの分析の可能性も検討している。それぞれの研究結果がまとまり次第,学会報告や論文投稿を行い,研究成果の蓄積をしたいと考えている。
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