2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the Social Process of Drug Induced Sufferings: From the View Point of Biological Citizenship
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20H01590
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
本郷 正武 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (40451497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 由岐子 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (50268827)
宇田 和子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90733551)
佐藤 哲彦 関西学院大学, 社会学部, 教授 (20295116)
佐藤 嗣道 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (50305950)
田代 志門 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50548550)
種田 博之 産業医科大学, 医学部, 講師 (80330976)
中川 輝彦 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10440885)
中塚 朋子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (50457131)
藤田 景子 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (60587418)
藤吉 圭二 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (70309532)
松岡 一郎 松山大学, 薬学部, 客員教員 (40157269)
松原 千恵 奈良女子大学, 国際交流センター, 特任助教 (80814368)
矢崎 千華 (矢崎千華) 関東学院大学, 社会学部, 講師 (30868021)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
吉武 由彩 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70758276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬害 / Biological Citizenship / 薬害アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査研究は、2001年から蓄積してきた薬害エイズに関する医師や被害者へのインタビューデータを中心とする調査データを元に、以下の三点から調査研究を進め、日本にしか存在しない薬害概念のもつ特質と概念の存在理由を明らかにすることをめざした。ただし、申請時に企図していた海外での調査研究および成果発信については、昨今の情勢から当該年度は困難であることから、現在進行中の書籍化企画と理論的な検討を中心に、予定よりも遅れているものの、助成期間中に計画は完了する見込みである。 ①国内外のインタビューデータの収集 :本メンバーも代表・研究分担者として参画している厚生労働省の薬害アーカイブズ事業と連動し、これまで得られたインタビューデータの検討をおこない、可能な限り新しいインタビューデータの蓄積をおこなった。当該年度は、陣痛促進剤被害、MMRワクチン被害など薬害の対象をさらに広げた聞き取りをリモートでおこなうことができた。 ②Biological Citizenship研究の渉猟と薬害事例との比較検討 :より広い社会的文脈から薬害の社会的過程を考察するために、Biological Citizenshipの観点からの国内外の被害者運動との比較に向けた理論的考察をおこなった。 ③書籍化と成果発信 :本メンバー全員が執筆した初学者向けテキスト『薬害とは何か:新しい薬害の社会学』(ミネルヴァ書房)を当初予定よりも遅れた2022年度内に発行する目途が立った。コロナ禍のために出版社の都合や原稿の検討が十分おこなえなかったものの、こんにちの感染症理解やワクチン接種などの論点を新たに加筆することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出版社の事情や、感染症の基礎知識やワクチン接種などコロナ禍をめぐる医療の動向を踏まえる必要性、さらに海外での成果発信や調査研究が困難になったことで、薬害書籍の執筆・編集・刊行のスケジュールに遅れが生じた。幸い、本科研プロジェクトの3カ年中には発行できる見込みとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
①国内外のインタビューデータの収集 :2022年度も幅広く薬害問題に関するインタビュー調査をおこなう。今年度は薬害訴訟を取り仕切る弁護士の役割に着目する他、近年はあまり注目されていないクロロキン薬害についてインタビュー他、資料を収集する。 ②Biological Citizenship研究の渉猟と薬害事例との比較検討 :海外でのいわゆる「薬害」問題がどのような社会的過程を経ているのかを、日本の薬害問題と比較検討をおこなう。その際に、Biological Citizenshipの観点から被害者運動を分析することで、成果発信を兼ねた英訳書の発行に向けた準備とする。 ③書籍化と成果発信 :『薬害とは何か:新しい薬害の社会学』(ミネルヴァ書房)を今秋に発行するための校正など詰めの作業を夏合宿などで集中的におこなう。加えて、専門書の発行に向けた検討に入る。
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