2022 Fiscal Year Annual Research Report
「生活最低限」の地域性と貧困の「農村的性格」を基礎にした貧困対策に関する調査研究
Project/Area Number |
20H01597
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小池 隆生 専修大学, 経済学部, 教授 (40404826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 道生 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (00582008)
佐藤 嘉夫 佐久大学, 看護学部, 副学長 (20073033)
木下 愛加里 佐久大学, 人間福祉学部, 助手 (40913570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暮らしの最低限 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市部および農村部における暮らしの最低限の地域性を対象化し比較考量するための生活様式調査の実施を模索しつつ、農村部の生活最低限を考察するうえでの分析枠組みを検討した(木下愛加里「農山村地域で暮らす高齢女性の抱える低所得・貧困問題に関する調査研究:問題形成のプロセスに着目して」生協総合研究所編『生協総研賞・第20回助成事業研究論文集』)。農山村地域で暮らす高齢女性の低所得・貧困の実態を、その創出過程に注目しながら、地域における生活のあり様といった文脈に即して把握することを目的とした。そこで、長野県のX村在住の6名の単身高齢女性を対象にインタビュー調査を実施し、①現在の生活に至るまでの経緯とその過程においていかにジェンダーが作用しているか、②地域における生活条件や生活様式が現在の生活のあり様に与えている影響の2点に注目しながらライフストーリー分析を行った。調査の結果、これまで十分に検討されることのなかった農山村地域における高齢女性の低所得・貧困の実態について、実際に村で暮らす女性たちの現実からその様相を把握した。これを通じて、性役割分業といった家族規範が生活困難の出現の仕方に世帯内で差異が生じうることとなり、地域間の比較分析をする際に必要な視角に示唆が得られることとなった。長野県内地域が分析対象であるが、本研究が当初予定している調査地としての岩手県内における諸状況の分析にとっても示唆的な知見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
岩手県農村部における調査の実施について、当初予定していた調査拠点の確保が現地研究分担者の異動などを伴い困難となり遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査方式をウェブ調査なども活用して進めることにする。
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