2020 Fiscal Year Annual Research Report
大学の教員養成における「省察」言説の生成・受容とその問題に関する総合的研究
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20H01633
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山崎 準二 学習院大学, 文学部, 教授 (50144051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和子 明治大学, 文学部, 専任教授 (30287883)
濱田 博文 筑波大学, 人間系, 教授 (20212152)
田中 里佳 上野学園大学, 音楽学部, 准教授 (20839146)
三品 陽平 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (00710849)
高谷 哲也 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (00464595)
長谷川 哲也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
朝倉 雅史 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50758117)
村井 大介 静岡大学, 教育学部, 講師 (80779645)
高野 貴大 独立行政法人教職員支援機構(次世代教育推進センター調査企画課), 次世代教育推進センター, 研修特別研究員 (40881529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教員養成 / 省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究課題であった、(1)「省察」の理論的及び実践的動向に関しては、日本での教師教育領域において広く受容され影響を及ぼしているショーン(Donald A. Schon)の「省察」概念、とりわけ「行為の中の省察(reflection-in-action)」に焦点を当て、特徴を考察した。また、「省察」活動をめぐる国内の教師教育政策の動向分析として、2000年代以降の教師教育政策などで扱われた「省察」をめぐる議論と展開過程を中教審答申等の政策関連文書と日本教育大学協会の報告文書などを基に考察を行った。さらに、教科教育領域における「省察」概念の受容と展開の過程の実態分析として、とりわけ受容・影響の大きい保健体育科と逆に受容・影響の小さい社会科教育の2つの教科教育領域における実態を考察した。これらについては、日本教師教育学会研究大会(2021年10月3日)で報告を行い、そこでの意見を踏まえて、論文「教師教育における『省察』言説の生成と展開に関する予備的考察」として公表した(『学習院大学教職課程年報』第8号、2022年5月刊行)。 次に(2)海外の研究及び実践の動向に関しては、過去30年以上の教員養成改革を背景に「省察」研究が蓄積されている英国及び米国に対象を絞り、NPM型改革下の教師教育政策・スタンダードに着目して、次年度以降の訪問調査の予備的作業として文献による動向分析を行い、同上教師教育学会研究大会において発表を行い、そこでの意見を踏まえて、論文「英米の教師教育における『省察』言説の生成と展開(1)」としてまとめ上げ、大学紀要に投稿中である。 (3) 国内の大学における教員養成における「省察」活動の動向分析に関しては、本格的な訪問調査活動のためのパイロット調査として国私立大学教職課程を訪問し、「教職実践演習」の参観と担当者へのインタビュー調査を実施し結果分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、コロナ禍の状況下で国内外の訪問調査活動と対面方式での全体研究会開催による集団的な集中討議ができなかったものの、2020年度予算の一部次年度への繰り越しを行い、次年度以降の訪問調査活動実施に向けての理論的枠組み作りやテレビ会議システム等を活用した研究全体会開催などにより、研究全体の作業課題である以下の3つの課題について取り組み、教師教育関連学会における発表や大学紀要等への論文掲載という点での成果を上げ、「おおむね順調に進展している」といえるところまで推進することができた。 (1)「省察」の理論的及び実践的動向に関しての研究を中心に進め、「省察」概念の生成・展開に関わる理論的分析として、日本での教師教育領域において広く受容され影響を及ぼしているショーン(Donald A. Schon)の「行為の中の省察(reflection-in-action)」概念に焦点を当てた分析、「省察」活動をめぐる国内の教師教育政策の動向分析、さらに、2つの教科教育領域(保健体育科と社会科)における「省察」概念の受容と展開の過程の実態分析を行うことができた。 (2)海外の研究及び実践の動向に関しては、過去30年以上の教員養成改革を背景に「省察」研究が蓄積されている英国及び米国に対象を絞り、NPM型改革下の教師教育政策・スタンダードに着目して、次年度以降の訪問調査の予備的作業として文献による動向分析を行うことができた。 以上の(1)および(2)の研究成果は、日本教師教育学会第31回研究大会で報告し、論文(両論文とも現在印刷中)としてまとめることができた。 (3) 国内の大学における教員養成における「省察」活動の動向分析に関しては、本格的な訪問調査活動のためのパイロット調査として国私立大学教職課程を訪問し、「教職実践演習」の参観と担当者へのインタビュー調査を実施し結果分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体の前提的作業課題であった(1)「省察」の理論的及び実践的動向に関しての研究に関しては、学会報告と論文発表によって一応の区切りをつけることができ、今後の国内外訪問調査の本格実施計画と分析枠組み作りにおける諸課題を構築でき、研究メンバー全員で共有することができた。したがって、今後は、文献調査を中心に進めてきた(2)海外の研究及び実践の動向に関する研究を本格化させ、英国及び米国への訪問調査とその結果分析に重点を移していく。そのための事前の文献調査とその分析作業にも引き続き取り組んでいく。 また、(3)国内の教員養成の場である大学教職課程への訪問調査も、これまでのパイロット調査活動を終え、今後は本格調査活動に移行し、教職課程関連諸科目の授業者及び履修学生へのインタビュー調査及び質問紙調査の実施と結果データの分析へと重点を移していく予定である。いずれも活動が可能となるためには、新型コロナ感染状況の好転が前提となるが、状況に対応して、次善の策としてテレビ会議システムを活用した諸方策を採ることも計画している
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Research Products
(13 results)