2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H01650
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
鈴木 勇 大阪成蹊大学, 教育学部, 教授 (90452383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃輔 関西国際大学, 社会学部, 講師 (30710222)
志水 宏吉 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40196514)
榎井 縁 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 特任教授(常勤) (50710232)
高原 耕平 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 人と防災未来センター, 研究員 (10844566)
宮前 良平 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20849830)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移行 / 過疎地 / 被災地 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の調査対象地域は、東日本大震災(2011)の被災地である宮城県南三陸町と阪神・淡路大震災(1995)の被災地である兵庫県淡路島(淡路市、洲本市、南あわじ市)である。南三陸町の比較対象地として、人口、経済規模、地理的条件などから淡路島の3市を候補地とし、洲本市を中心に調査を実施した。淡路島においては、Uターン経験者や移住者、移住者をアレンジするNPOなどにインタビュー調査を実施した。南三陸町では、若者の多くが高校卒業後に町外に出る中で、高校卒業後地元企業に就職した若者にインタビューをし、その動機やその決断を可能にした環境などについて検討した。また、震災後定期的に都市圏からボランティアに通っている人々にインタビュー調査を実施し、震災後10年以上にわたり定期的に被災地で活動することの意義について検討した。 これらの調査を通じて、地域の高校や地域の企業が、地域において新しい価値を生み出していくことが、若者を地域にとどまらせるうえで重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の全体計画は以下のとおりである。第1に、被災地における若者人口減少の実態を量的に検討する。第2に、地域から「出る」、地域に「残る」、「戻る」、「来る」若者の背景を生活史法により検討し、その特徴を明らかにする。第3に、こうした若者を取り巻く家族、学校、コミュニティに注目し、関係者へのインタビュー調査とフィールドワークを実施し、コミュニティの変容について検討する。第4に、同じく若者の人口減少に直面している被災地内外の過疎地域を選定し、それぞれを比較検討する。そして、第5に、旧来の「戦後日本型社会モデル」に修正を加える。 量的調査については、震災からの時間経過に沿って、様々な統計指標がどのように変化したのかを検討した。現地調査については、上にも記した通り、南三陸町と淡路島において、地元に残った若者や移住してきた若者を中心にインタビュー調査を実施した。そして、両地域には共通部分はあるが、異なる特徴も多いことが明らかとなった。地域の活性化には、大きな枠組みは他地域の取り組みを参考にしつつも、具体的な取り組みはその地域の特性に適したものでなければ長続きしないことを検討した。コミュニティの変容については、特に南三陸町においてコミュニティの衰退は地域の学校の衰退の影響が大きいことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は南三陸町と淡路島を調査したが、さらに新しい調査対象地を見出したい。それは、南三陸町とは異なる取り組みを行っている地域を検討したいからである。具体的には新たな産業を創設する取り組みによって、地域の若者を地域にとどまらせるとともに、地域外からも若者を呼び寄せることができる取り組みを検討していきたい。その際に重要になるのが地域の高校学校が果たす役割である。若者の移行において高等学校が重要であることから、地域の高校の学生減少はそのまま地域の若者の流出にも結び付く課題である。そうした視点から、地域に新たな仕事や文化を創造し、高校と地域が連携しながら地域コミュニティを変えようとしている取り組みについて検討したい。
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