2020 Fiscal Year Annual Research Report
個人・地域・地球及びSTEAM文脈の問いが駆動する課題解決型授業モデルのデザイン
Project/Area Number |
20H01747
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中山 迅 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90237470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿田 祐嗣 国立教育政策研究所, その他部局等, 客員研究員 (70178820)
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 名誉教授 (60322856)
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
山本 智一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70584572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | STEAM文脈 / 科学教育 / 課題解決型授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムと評価のあり方については,フィンランドの大学入学資格試験における「問題解決型の問い」の分析を進めることによって,資質・能力の育成に必要な問いのあり方に関する知見を得る計画であるが,新型コロナウイルスの感染拡大で,渡航が禁止されたため,計画していた現地での調査は実施できないままとなっている。一方,資質・能力の育成を重視する教科等横断的な学びとしてのSTEM/STEAM 教育の意義について,教育政策文書等を基にした整理を行った。 TIMSS(国際数学理科教育動向調査)の論述式課題の回答の分析については,物質の水への溶解に関する出題や,生物概念に関する出題についての回答分析を行い,学会に発表した。また,生物の生殖に関する出題の回答分析をアーギュメントの観点に加えて「トレードオフ」の観点で分析して,隠されていた教育課題が存在する可能性を見いだした。さらに,TIMSSの出題に対する正答率についての男女での比較を行い,出題内容や文脈により,男女差が生じる可能性についての示唆を得て学会に発表した。 教育実践モデルについては,附属小・中学校での実践について研究紀要に報告した。また,公立学校では,プログラミング活動を含む理科授業をSTEAM文脈で実施する事例研究を,学会に発表した。また,教員養成系の学生による模擬授業での試行については,学生の「役」として,「教師役」「生徒役」に加えて「参観者役」を設定することで,学習指導についての学生の学習効果が増す可能性について明らかにし,国際学会に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムと評価のあり方については,新型コロナウイルスの感染拡大の影響で,現地での調査ができないままにななり,調査が遅れている。調査を予定しているフィンランドは,早くから個々の学習内容を様々な文脈に埋め込みむ「コンピテンス基盤型教育」を進めている。それは教科の学習だけでなく大学入学資格試験にもはっきり現れている。そこで,この分析は現地での研究機関を調査する形で進める予定であったが,COVID-19感染拡大によってこれらは困難となった。それに対応すべく,大学入学資格試験委員会や国家教育委員会などのWebサイトにアクセスし,大学入学資格試験の問題を直接分析する方式に変更し準備を進めてきた。本試験はCBTベースの動画も含まれていることから,アクセスに難航するなど予想外の困難に見舞われているが,1年に2回,秋,春に実施される問題の入手方法と,一部問題の訳出を試みた。資質・能力の育成を重視する教科等横断的な学びとしてのSTEM/STEAM 教育の意義について,教育政策文書等を基にした整理を進めている。 TIMSS(国際数学理科教育動向調査)の論述式課題の回答の分析については,生物概念に関する分析などを進めて学会発表なども行っており,引き続き分析と,結果の報告を行う準備を進めている。また,男女による得意な文脈の違いのついての分析と成果発表を済ませており,これを,STEAM文脈の問いを設定する際の配慮事項として活用することができるようになった。学校現場での教育実践モデルの試行については,附属学校や公立学校で実施して,成果を報告している。また,教育養成課程の学生による模擬授業においてもこれを実施し,より効果的な実施方法についての知見を得て報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムと評価のあり方については,大学入学資格試験委員会や国家教育委員会などのWebサイトにアクセスし,大学入学資格試験の問題を翻訳して分析する計画に変更して準備が進んでいる。今後は,大学入学資格試験の問題の分析を中心にした調査と評価を進めていく。次年度はこれまでに得た手続きを参考に,生物の入試問題5年分(計10回)を訳出してフィンランドが目指す7つのコンピテンスから分析し,資質・能力の育成に必要な問いのあり方について考察する予定である。資質・能力の育成を重視する教科等横断的な学びとしてのSTEM/STEAM 教育の意義について,教科固有のコア概念や教科横断的な概念の観点から整理を行う計画としている。 TIMSS(国際数学理科教育動向調査)の論述式課題の回答分析については,これまでの分析を整理して,その成果をとりまとめて発表できるようにする予定である。 教育実践モデルの開発については,引き続き,学校現場と教員養成課程の学生による模擬授業を通して進める計画で,得られた知見や事例を学会発表や論文として報告する予定である。
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Research Products
(30 results)