2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development and effect verifying of multilayered treatment for prolonged grief disorder and elucidation of the biological basis
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20H01774
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
中島 聡美 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20285753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 明美 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (00425696)
竹林 由武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00747537)
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 部長 (20510382)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
吉池 卓也 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 室長 (40647624)
須賀 楓介 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, こころのケアセンター, 主任研究員 (20527593)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遷延性悲嘆障害 / 認知行動療法 / 集団療法 / 心理教育 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
遷延性悲嘆障害(prolonged grief disorder, PGD)は、強い悲嘆が長期に持続する精神障害である。欧米では認知行動療法の有効性が報告されているが、日本ではPGDに対する治療の研究は極めて乏しい。PGDの生物学的研究は遅れており、診断や評価尺度のあいまいさにつながり、治療研究の評価を難しくしている。この現状を踏まえ、PGD遺族が利用しやすい多層的な治療法の開発とバイオマーカーの同定を目的としてR2年度では、以下の4つの研究を実施した。 研究1「日本版複雑性悲嘆治療(J-CGT)の有効性・安全性に関する多施設共同研究」:重要な他者との死別を経験した成人のPGD患者(20例)を対象に、対照群をおかない単群の前後比較試験でJ-CGT効果を以下の4機関で(武蔵野大学、国立精神・神経医療研究センター、国際医療福祉大学、兵庫県こころのケアセンター)実施した。R2年度では14例が登録し、6例の治療が終了した。現段階では、重篤な有害事象は発生していない。 研究2「PGDを有する遺族に対する集団認知行動療法(ENERGY)の有効性に関するRCT」:武蔵野大学心理臨床センターで実施の準備のための予備施行を実施し4例が終了した。重篤な有害事象は発生しておらず安全に実施できることが確認されたが、新型コロナウイルス感染症のため、登録を中断している。 研究3「PGDのウェブの開発と有効性に関する研究」: 「がん遺族の複雑性悲嘆に対するウェブベース心理教育プログラム」のウェブサイトの作成を行った。心理教育の内容にナレーション機能を付加した。 研究4「PGDの生物学的基盤の解明に関する研究」: PGD遺族(PGD群,約50名)とPGD症状を有さない遺族(非PGD群,約25名)を対象として、PGDに特有な生物学的基盤の解明を目的とするものである。令和2年度は実験プログラムの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、4つの研究すべてにおいて実施に支障が生じた。研究1「日本版複雑性悲嘆治療(J-CGT)の有効性・安全性に関する多施設共同研究」では、登録14例に対し、各治療実施施設において、臨床実施場所の使用が制限されたため、治療の開始遅延が生じ、治療終了者は6例にとどまった。研究2「PGDを有する遺族に対する集団認知行動療法(ENERGY)の有効性に関するRCT」は、集団で集まるリスクを考慮し、今年度は中止となった。研究3「PGDのウェブの開発と有効性に関する研究」については、当初計画通り、がん死亡遺族への聞き取りを行い、心理教育プログラム暫定版を開発した。研究4「PGDの生物学的基盤の解明に関する研究」は、研究実施場所の国立精神・神経医療研究センターの感染対策により、対象者のリクルートに支障が生じ、実験プログラムの開発のみを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1「日本版複雑性悲嘆治療(J-CGT)の有効性・安全性に関する多施設共同研究」では、すべての実施機関で治療の実施が可能になったので、登録事例の治療を継続し、令和3年度には目標症例数の登録を行う予定である。研究2「PGDを有する遺族に対する集団認知行動療法(ENERGY)の有効性に関するRCT」は、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて実施を検討する。研究3「PGDのウェブの開発と有効性に関する研究」では、開発した心理教育プログラムについて予備施行を行い、修正したうえで効果研究ヲ実施する。研究4「PGDの生物学的基盤の解明に関する研究」では、研究計画について倫理委員会の承認を受け、研究参加者のリクルートを行う予定である。また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、遷延性悲嘆症の遠隔治療プログラムの開発を行う。
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Research Products
(10 results)