2022 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト身体における仮想的運動神経支配入れ替えが引き起こす適応的可塑性の解明
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20H01785
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
板口 典弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (50706637)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 道具の身体化 / 病的身体化 / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの脳は,環境に合わせた柔軟な身体運動制御を実現している。特に,道具使用の熟達によって身体が更新・拡張される感覚(“道具の身体化”)が生じることも知られている。本研究では,道具の身体化現象を背景として,脳と,身体・道具の関係性を明らかにするとともに,感覚運動制御の適応的可塑性を支えるメカニズムの解明を目指す。 本年度の成果は主に4つある。まず,到達把持運動に対する外力(外乱)がどのようにその運動制御に影響を与えるか,どの程度適応的な反応が得られるかに関する実証実験である。この実験から,到達把持運動の到達成分外乱の影響は出ること,到達把持の協調が運動時間増加の影響を受けないことが明らかとなっている。この成果は現在論文執筆中である。次に,重力方向への負荷増加が到達運動における精度―速度トレードオフに与える影響についての実験の積み重ねである。本成果については,実験計画や解析方法を含めてさらなるブラッシュアップが必要である。三つめは,道具の身体化に対する理論的基盤の考察である。本成果は,山田千晴・板口典弘 (2022)として公刊された。また,もう一本,病的身体化の観点から道具の身体化についての理論的考察をおこなっている。この論文は現在投稿中である。四つめは,力知覚と力再生を繰り返すと,最終的に個人ごとの力出力の平衡点に落ち着くことを理論的・実験的に示した点である。この成果は,Muramatsu et al. (2022)として公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で,当初予定していた実験計画をすべて消化できてはいない一方で,当初の計画とは異なる成果(身体化についての理論的基盤の考察)が出始めている。そのため,総合的にはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた実証実験結果を確たるものとすると同時に,理論的基盤の整備を優先しておこなう。特に,「身体化」という用語については,分野間で大きな齟齬があり,特に国内においてはその齟齬を解消する動きに抵抗があることが判明してきた。この状況を打開するには,実験的証拠および臨床観察を加えた統合的枠組みを提供することが必要である。そのため,今後は,実証実験に加えて,理論的考察により重点を置いた課題推進をおこなう。
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Research Products
(2 results)