2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト身体における仮想的運動神経支配入れ替えが引き起こす適応的可塑性の解明
Project/Area Number |
20H01785
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
板口 典弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50706637)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体 / 身体化 / 道具 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの脳は,環境に合わせた柔軟な身体運動制御を実現している。特に,道具使用の熟達によって身体が更新・拡張される感覚(“道具の身体化”)が生じることも知られている。本研究では,道具の身体化現象を背景として,脳と,身体・道具の関係性を明らかにするとともに,感覚運動制御の適応的可塑性を支えるメカニズムの解明を目指す。 本年度の公刊された学術的成果は以下の2点である。まず,重力方向への負荷増加が到達運動における影響について,脳卒中片麻痺患者を対象とした検討をおこない,その成果が安藤ら(2023)として公開された。この研究では,重力という,ヒトが生まれ落ちた際から常に暴露されてきている外乱環境に対する適切な運動計画が,片麻痺を有する患者においても保たれていることを示した。本成果は,身体化という現象に対して,地球環境そのものを考慮する必要性があるという,学術的に大きな示唆を持つ。次に,失行を呈する頭頂葉損傷患者に対して,運動計画能力に負荷をかけたリハビリテーションをおこなった事例を報告した。この検討も,運動遂行における運動計画機能の重要性を確認する貴重な報告である。 本研究課題の遂行項目となっている,長期的な道具使用にともなう運動制御要素の適応的変容については,現在実験を遂行中である。また,VR環境において身体の擬似欠損・擬似麻痺を引き起こす環境を新たに構築済みであり,本研究課題の成果を大きく発展させる準備も整った。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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