2022 Fiscal Year Annual Research Report
知覚と注意のゆらぎのメカニズムを脳活動と自律神経系から統合的に理解する
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20H01789
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
近藤 洋史 中京大学, 心理学部, 教授 (30396171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30322241)
木原 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30379044)
江崎 貴裕 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (80773184)
長谷川 国大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (10741837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持続的注意 / 聴覚 / ゆらぎ / fMRI / エネルギー地形解析 / 時間知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
注意の水準を維持することは、車の運転や授業の聴講など、日常生活において重要である。そこで、2021年度に開発した聴覚の持続的注意課題と機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) を組み合わせることで、注意のゆらぎに関わる脳内機構を探求した。この課題では、非日本語話者の異なる音声が提示され、研究対象者は声色から性別を判断することが求められた。したがって、音声に含まれる意味情報ではなく、音響情報の弁別が課題成績に重要であった。それと同時に、課題遂行の対象者の脳活動を計測した。 1)注意のゆらぎ: 通常の環境とは異なるMR装置内においても、視覚および聴覚課題の抑制失敗率に正の相関が認められた。反応時間に基づく注意の変動(ゆらぎ)関しても、同様の結果が得られた。 2)持続的注意の神経基盤: 注意変動に関係する脳領域を特定したところ、背側注意ネットワーク (上前頭回と頭頂小葉)の信号変化と相関していたが、デフォルト・モード・ネットワーク(内側前頭前野と楔前部)とは相関していなかった。エネルギー地形解析を行なったところ、脳内の状態遷移の頻度が聴覚的注意の変動と密接に関連していることが示唆された。 3)アウトリーチ活動: 学術雑誌 "Scientific Reports" から Collection Guest Editor に招聘され、本研究に関連する特集号「時間知覚」を出版した。大学生や非専門家を対象としたオンライン講演会3件、プレスリリース1件、取材対応2件などの活動をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な目的であった、持続的注意に関するfMRI実験を完遂し、学術論文を含む研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響は収束しつつあり、研究対象者と対面して心理実験を実施できるようになった。自律神経系の機能計測も進捗しており、生理データが順調に蓄積されている。得られた実験データを着実に分析して、実りある成果とする。
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Remarks |
Collection Guest Editor, Scientific Reports
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Research Products
(8 results)