2020 Fiscal Year Annual Research Report
数値計算の符号問題の解決に向けた基本アルゴリズムの開発と物理学の諸問題への適用
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20H01900
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福間 将文 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10252529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 芳夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20252421)
金森 逸作 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (60399805)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 符号問題 / ハイブリッドモンテカルロ法 / 分子動力学 / 焼き戻し法 / 世界体積 / 世界体積ハイブリッドモンテカルロ法 / カイラル行列模型 / ステファノフ模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
符号問題の対する新しいアルゴリズムとして「世界体積ハイブリッドモンテカルロ法」(世界体積HMC法:福間・松本2020)を提唱した。これは、複素空間内に変形した積分面を連続的に重ね合わせた領域(世界体積)上で分子動力学を行うもので、数値計算アルゴリズムとしても全く新しい手法である。従来の「焼き戻しLefschetzシンブル法」(TLT法:福間・梅田2017)と比較すると、符号問題とエルゴード性の問題を引き続き同時解決しながら、計算コストが圧倒的に低いという特長を持つ。 この手法の有効性を確認するため、有限密度QCDのトイ模型であるカイラル行列模型(Stephanov模型)に実際に適用し、厳密解と一致することを示した。なおこの行列模型は有限密度QCDの符号問題の解決を目指すアルゴリズムにとって極めて重要なベンチマークとなっていて、実際、行列サイズ無限大の極限で有限密度QCDの定性的振る舞いを記述することに加え、複素ランジュバン法など、他の手法ではうまく行かないことが知られている。我々の世界体積HMC法は、Stephanov模型で正しい結果を与えた初めての(そして現時点で唯一の)アルゴリズムである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は符号問題に対する新しいアルゴリズムを開発することであるが、1年目でかなり有望な手法を提案することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発した「世界体積ハイブリッドモンテカルロ法」の有効性をさらに確認すべく、他の模型にも適用する。また、テンソルネットワーク法など、モンテカルロ法以外の符号問題解決法についても知見を得る。
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Research Products
(6 results)