2022 Fiscal Year Annual Research Report
数値計算の符号問題の解決に向けた基本アルゴリズムの開発と物理学の諸問題への適用
Project/Area Number |
20H01900
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福間 将文 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10252529)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 芳夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20252421)
金森 逸作 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (60399805)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 符号問題 / モンテカルロ法 / 格子ゲージ理論 / レフシェッツ・シンブル / 世界体積ハイブリッドモンテカルロ法 / 焼き戻し法 / テンソルネットワーク法 / テンソルくりこみ群 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンテカルロ法における符号問題は様々な物理系の第一原理計算における障害となっている。我々が開発した「世界体積ハイブリッドモンテカルロ(HMC)法」は、連続化した焼き戻し法を用いることによって符号問題とエルゴード性問題を同時解決するアルゴリズムであるが、その汎用性と結果の信頼性の点で、符号問題に対する有望な解決法の一つとみなされている。 2022年度は、この手法を格子場理論に本格適用する研究を進めた。具体的には、局所場理論ではHessian行列が疎行列になることを用いて、線形逆問題の逐次解法を積極的に活用したアルゴリズムを進展させた。そして、有限密度複素スカラー理論の場合には、大サイズ格子における計算コストスケーリングが自由度の1乗となることを示した。さらに、群多様体を配位空間とする理論に対する世界体積HMC法を構築し、格子ゲージ理論に適用するための準備を整えた。 2023年度は、世界体積ハイブリッドモンテカルロ法のフェルミオン系への適用を開始した。とくに、有限密度QCDとよく似た構造を持つハバード模型を対象として選び、格子サイズが小さい場合には既存の結果と一致することを示すことで、我々の手法の有効性を示した。さらに計算コストスケーリングを調べ、それが補助変数のとり方によって大きく変わることを確認した。 一方で、モンテカルロ法とは対照的な性質を持つテンソルネットワーク法についても研究を進め、我々が開発した「群のランダムサンプリングに基づく格子ゲージ理論の新しいテンソルネットワーク表示」を2次元から3次元以上に拡張するための方法論を進展させた。また、2次元の場合にトポロジカル項(θ項)を入れても正しく解析結果が再現できることを示し、ランダムサンプリング法が符号問題を再導入しないことを確認した。
|
Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|