2020 Fiscal Year Annual Research Report
あらせ衛星観測とシミュレーションによる放射線帯電子の非線形加速・散乱過程の理解
Project/Area Number |
20H01959
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三好 由純 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (10377781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 慎司 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所宇宙環境研究室, 研究員 (60528165)
加藤 雄人 東北大学, 理学研究科, 教授 (60378982)
松田 昇也 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (20772213)
栗田 怜 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90785495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線帯 / 数値シミュレーション / あらせ衛星 / 波動粒子相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球周辺の高度1,000 kmから40,000 km付近の宇宙空間には、放射線帯(ヴァン・アレン帯)と呼ばれる高いエネルギーを持つ荷電粒子群が存在する。放射線帯に存在する電子群は、太陽からのプラズマ流(太陽風)の変化に応じて、その数が大きく増減する。「あらせ」衛星などによる新しい観測によって、非線形のプラズマ波動が電子の散乱や加速を引き起こし、放射線帯の電子の数が変化している様子が観測されてきた。しかし、衛星の観測データは衛星周辺の様子のみを計測するため、プラズマ波動が放射線帯の電子群全体に及ぼす影響はわかっていない。本研究では、「あらせ」衛星の発見による高周波コーラス(UBC)による急激な電子加速とバタフライ分布と呼ばれるピッチ角分布の形成に注目し、その過程を「あらせ」衛星データを入力とするデータ駆動型シミュレーションで検証した。その結果、phase trappingと呼ばれる非線形波動粒子相互作用が生じること、その結果、電子のエネルギーとピッチ角が短い時間に大きくなり急激な加速が起こること、そして、バタフライ分布が生成されることを明らかにした。この結果は、「あらせ」衛星が観測した非線形波動粒子相互作用のメカニズムを特定するのものであり、Saito, Kurita, Miyoshi et al.[2021, Geophys,. Res. Lett.]として報告された。そのほか、非線形波動粒子相互作用に関わるシミュレーション研究、ならびにマクロな内部磁気圏シミュレーションと「あらせ」衛星との比較研究等を行い、国内外の学会で報告や論文報告(Kumar, Miyoshi et al., 2021, J. Geophys. Res.)を行った。さらに、波動と粒子のエネルギー交換過程の実証にも成功した(Shoji, Miyoshi et al., 2021, Sci. Rep).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標としている「あらせ」衛星が観測した波動と粒子相互作用過程の実証的な理解について、数値シミュレーションによって、非線形波動粒子相互作用が引き起こしていることを実証して学術論文として報告するとともに、マクロな内部磁気圏のシミュレーションとミクロな非線形波動粒子相互作用のシミュレーションとの連成計算も取り組み、国内外の学会や学術誌に報告を行ってきている。そのほか、非線形波動粒子相互作用に伴う波動と粒子のエネルギー交換過程の実証に世界で初めて成功するなど、先駆的な成果を上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の結果、高周波コーラス波動(UBC)が非線形波動粒子相互作用によって、バタフライ分布と呼ばれる特徴的なピッチ角分布を作り出すことが明らかになり、「あらせ」衛星の観測と整合的な結果が得られた。一方、低周波コーラス波動(LBC)が同様のバタフライ分布を作り出しているかどうかは、まだわかっていない。本研究で進めているシミュレーション研究によって、この過程の検証を進めていく。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Penetration of MeV electrons into the mesosphere accompanying pulsating aurorae2021
Author(s)
Miyoshi Y.、Hosokawa K.、Kurita S.、Oyama S.-I.、Ogawa Y.、Saito S.、Shinohara I.、Kero A.、Turunen E.、Verronen P. T.、Kasahara S.、Yokota S.、Mitani T.、Takashima T.、Higashio N.、Kasahara Y.、Matsuda S.、Tsuchiya F.、Kumamoto A.、Matsuoka A.、Hori T.、Keika K.、Shoji M.、Teramoto M.、Imajo S.、Jun C.、Nakamura S.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 13724
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Role of Ducting in Relativistic Electron Loss by Whistler‐Mode Wave Scattering2021
Author(s)
Artemyev A. V.、Demekhov A. G.、Zhang X.‐J.、Angelopoulos V.、Mourenas D.、Fedorenko Yu V.、Maninnen J.、Tsai E.、Wilkins C.、Kasahara S.、Miyoshi Y.、Matsuoka A.、Kasahara Y.、Mitani T.、Yokota S.、Keika K.、Hori T.、Matsuda S.、Nakamura S.、Kitahara M.、Takashima T.、Shinohara I.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Space Physics
Volume: 126
Pages: e2021JA029851
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Observations of radiation belt by Arase during declining phase of cycle 242021
Author(s)
Y. Miyoshi, S. Kurita, T. Hori, S. Imajo, M. Teramoto, T. Mitani, T. Takashima, I. Shinohara, N. Higashio, S. Kasahara, S. Yokota, K. Keika, F. Tsuchiya, A. Kumamoto, Y. Kasahara, M. Shoji, S. Nakamura, and A. Matsuoka
Organizer
COSPAR
Int'l Joint Research
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[Presentation] Statistical investigation of cross energy coupling during magnetic storms2020
Author(s)
三好 由純, 栗田 怜, Park Inchun, 三谷 烈史, 篠原 育, 笠原 慧, 横田 勝一郎, 桂華 邦裕, 堀 智昭, 東尾 奈々, 今城 峻, 田 采祐, 松岡 彩子, 笠原 禎也, 松田 昇也, 土屋 史紀, 熊本 篤志, 小路 真史
Organizer
第148回地球電磁気・地球惑星圏学会の総会および講演会
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