2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method to identify and discriminate similar tephras erupted from a single volcano
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20H01982
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 敏嗣 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 所長 (00092320)
吉本 充宏 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (20334287)
杉山 浩平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (60588226)
嶋野 岳人 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (70396894)
西澤 文勝 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 学芸員 (70813905)
田島 靖久 日本工営株式会社中央研究所, 総合技術開発第2部, 研究員 (70831642)
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90221887)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テフラ / 富士山 / 単一給源 / 識別 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19による行動制限の影響で、試料採取などについては計画通り進められなかったが、主に過去に採取した試料について分析を進め、類似したテフラを識別するための手法開発をおこなった。 まず、テフラの外形計測と特徴量の抽出については、富士山科学研究所に設置された形状測定装置を用いて70試料程度について測定を実施した。それらの計測結果に基づき、テフラ層の特徴を表現するのに有効な指標を選定した。その結果、大沢スコリアなどのいくつかのテフラは、こうした形状情報が、識別にある程度有効なことが判明した。 また、テフラの内部組織(気泡情報)の計測については、東京大学地震研究所の走査電子顕微鏡で,80試料300粒程度の反射電子線像を取得した。現在はそれらの反射電子線像から気泡量や気泡形状、石基結晶量について自動解析を行うためのスクリプトの作成を行なっている。加えて、気泡量や気泡形状とテフラ粒子の外形との関係も明らかになりつつある。さらに、気泡量、気泡形状、石基結晶量については、ある程度の時代性が認められており、噴火の発生した時期の絞り込みに有効な指標となる可能性があることがわかった。 上記に加えて、風化の度合いが低い試料については、蛍光X線化学分析を実施し、化学組成の面からの特徴抽出も行なっている。 こうしたテフラ識別の実践として、富士山麓の縄文・弥生時代の遺跡に堆積しているテフラ試料についても、考古学関係者の協力のもと、試料収集と分析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年計画の全体としては、おおむね順調に進行している。分析と解析については、初年度に今後の研究指針を得ることができた。しかしながら、COVID-19による行動制限の影響で、試料採取については若干の遅れを生じており、今後は網羅的なテフラ試料採取について、より一層、力を傾注する必要がある。しかしながら、全体としてみれば、4年間で当初の目的達成は十分に可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、テフラ粒子の外径測定と内部の気泡情報の取得についての作業手順がほぼ確立した。今後は、分析数を増やしてできるだけ多くの試料についての情報を網羅し、今後に作成するデータベースの有効性を高めるための作業を主に行う。 初年度には、噴火口からの堆積地点距離が異なると露頭でのテフラの見かけがかなり変化することや、そのため対比時に着目する要素もそれに応じて変える必要がある、という2点が確認できた。したがって、単に一つの噴火について一試料を採取するのではなく、噴出地点からの距離が異なる複数地点で試料を採取するようにする。また、一回の噴火でも噴火中に噴出物の特徴が変化することがあるため、できるだけ細かくサブユニット分けした試料採取を行うよう心がける。 試料は採取位置(緯度経度)と堆積状況を記録(写真、厚さ、スケッチ等)後、石基組織観察・組成分析、外形測定、色測定を分担して実施し、定量的に表現できる様々な計測量を収集する。その後、収集した特徴量について相互の関係を調べて整理統合し、テフラ層の識別に役立つ指標を全員で見出していく。 これまでの解析結果を見る限り、テフラ層の多くは他の層と識別可能なほど明瞭な特徴を持たない。しかしながら、識別可能な特徴を有するテフラ層もいくつか存在することもわかった。今後は、様々な計測量に着目し、そうした識別可能なテフラ層の数をできるだけ増やしていくことにも重点を置く。
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Research Products
(1 results)