2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of wet etching technology for nitride semiconductors using strong oxidizing agents and application to transistors
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20H02175
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 実人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30635199)
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 特任教授 (80149898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / ウェットエッチング / 電気化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)硫酸ラジカル(SO4*-)生成レートの調査 UVC照射により前駆体のペルオキソ二硫酸イオンから硫酸ラジカル(SO4*-)の生成レートを、溶液のpH測定により調査した。UVC照射時間が増えるにつれ溶液のpHが低下(酸性側へ移行)し、その滴定曲線からラジカルの生成レートを見積もった。ペルオキソ二硫酸イオン濃度および光強度条件が同じであれば、初期の溶液pH(酸・アルカリ)に依存せず一定であることを明らかにした。 また同様に、加熱によるラジカル生成レートを、溶液のpH測定により調査した。前駆体のペルオキソ二硫酸イオンを含むアルカリ性溶液(pH>10)の温度を上昇させると、初めは緩やかにpHが低下するが、70℃近傍から急激にpHが低下し酸性(pH<4)を示した。同じく滴定曲線からラジカル生成レートを見積もると、初期のペルオキソ二硫酸イオン濃度が高いほど、生成レートが増大することを明らかにした。これらより、UVC照射および加熱によるラジカル生成レートの制御を実現した。 (2)硫酸ラジカル(SO4*-)溶液を使ったn-GaN表面のエッチング UVC照射により生成された硫酸ラジカル(SO4*-)溶液を使ってn-GaNをエッチングし、初期表面状態やエッチング条件とエッチング後に得られる表面モホロジーの関連性を明らかにした。初期表面にドライエッチングによる加工損傷を加えた試料では、未処理試料と比較して、ラジカルエッチングレートが大幅に低下した。加工損傷によりn-GaN表面近傍に欠陥準位が生成され、光励起キャリアの再結合(消滅)を促し、光電気化学反応量が低下したことに起因する。また、UVC強度の増加により、同じ損傷試料に対しても十分なエッチングレートが得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の課題にあげていた「硫酸ラジカル(SO4*-)生成レートの測定と制御」について目標の9割以を達成し、国際会議および国内会議で成果を発表した。また「n-GaN層のエッチング」については、プロセス面の違いによりエッチングレートが異なることを明らかにした。これらの成果は、招待講演を含む国際会議3件、国内会議3件で報告しており、本課題は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の2つの課題に取り組む。 (1)硫酸ラジカル(SO4*-)を使った窒化物半導体混晶(AlGaN, AlGaInN)のエッチング 昨年度までに得られた知見を活かして、窒化物半導体混晶(AlGaN, AlGaInN)のエッチングに取り組む。GaNと比べて禁制帯幅が広いためUVC照射を用いる場合は、その波長(フォトンエネルギー)が重要な制御パラメータとなる。UVC波長を変えてラジカル生成量を調整とともに、半導体の吸収係数を考慮しながら励起キャリア量との相関から、エッチングレートを制御する。 (2)溶液とp-GaN界面の電気化学的評価 p-GaNに対するラジカルエッチング条件を明らかにする。昨年度実施したn-GaNと違い、p-GaNではエッチング反応に必要な正孔(ホール)が多数キャリアであるため、半導体側ではUVC照射による光キャリアの生成は必要としない。UVC照射をラジカル生成量だけに絞り込むことにより、ラジカル生成量とエッチング量の関係をさらに詳しく調査する。また、p-GaN試料を作用電極とし、溶液中での容量-電圧(C-V)特性とインピーダンス分光測定から、ラジカル溶液とp-GaNの表面電位差を同定する。電流-電圧(I-V)特性から、ファラデーの法則に基づき表面酸化速度を定量的に評価する。
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