2020 Fiscal Year Annual Research Report
土砂災害の予知モニタリングを従来の1/10以下のコストで実現できる方法の開発
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20H02243
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芥川 真一 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70231850)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラスチック光ファイバー / 斜面災害 / モニタリング / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目である2020年度にはプラスチック光ファイバー(Plastic Optic Fiber,略称POF)で試作した各種センサー(POFセンサーと呼ぶ)が捉えた光情報を分析する画像処理アプリ(X1と呼ぶ)の基本系を構築し,その基本性能を検証した.その結果,当初目的としていた精度で,土木工学における防災技術の一つとして十分に役立つモニタリングシステムを構築できることを室内実験,およびフィールド実験で確認した.
室内実験においては微小変位,微小傾斜の計測などについて機能確認ができたため,水分検知,地盤内の水分の凍結融解,地盤内に補強材料(グラウト)を注入する際の注入域の確認,コンクリート内の鉄筋の錆などを対象とした基礎実験によってそれらの項目に関する情報がモニタリングできることを確認した.
フィールド実験においては,神戸大学工学部内の危険斜面において提案するPOFセンサーを約20箇所に設置し,それらのモニタリング箇所からデータを持ち帰った合計20本のPOFが捉えた光情報をX1によって分析する作業の動作確認を行った.この20個のセンサーが捉える情報は危険斜面の変形,傾斜,排水設備の目詰まり状態,排水溝を形成するコンクリートブロック間のずれ,地盤内の水分など多岐にわたり,これらの多様なデータを画像処理アプリX1によってすべて処理できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では携帯端末で稼働させる画像処理アプリについて,プラスチック光ファイバー(略称POF)1本の光データを処理できるレベルまで構築する予定であった.しかし,アプリ製作を依頼した会社との協力により,複数本のPOFを同時分析できるレベルの基本性能を確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,このモニタリングシステムを広く全国,全世界に導入する際に重要となる「使いやすさ」の観点から,モニタリングを実施しているサイトでPOFセンサーが捉えた光情報を,ネットワークカメラで撮影し,インターネット経由で届いた画像を別の場所で分析することを試みる.この方法論は現代のICT技術の発展によって可能となるものであり,モニタリングの場所とデータ分析の場所を任意に設定できるため,モニタリング全体の計画が非常に効果的に展開できることになる. さらに,画像処理アプリX1は光情報を分析するにあたって,POFセンサーが捉えた光だけでなく,使用しているカメラが捉えた映像の中の任意物体の動きに関してもモニタリングが可能であることが確認できたため,この機能も柔軟に取り込んだモニタリングの実施を検証する.
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