2022 Fiscal Year Annual Research Report
Urban History of "Disarmament": Spatial Configuration of the 17-20 Century Taiwan
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20H02340
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青井 哲人 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20278857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 領域史 / 軍事的(再)領土化 / 武装解除 / 台湾史 / 清朝体制と日本植民地体制 / 竹圍 / 蘭陽平原 / 三合院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17-20世紀の台湾史を、領土解体の危機と軍事的な再領土化の反復に着目して読み直す試みであり、とくに武装解除の論理とその後の地域開発の進展とを連続的に見ようとするところに特徴がある。2022年度研究計画では、蘭陽平原における特徴的な漢人入植とその防衛のための囲繞装置である竹圍仔をめぐる臨地調査を行うこととした。 17世紀に始まる台湾西部の開拓では清朝の大掛かりな軍事行動と連動して特許を得た大資本による組織的な灌漑が前提とされ、その上に集村を形成したが、東部開発は19世紀に30~50戸の武装開墾者集団が政府から開墾地の割当を受け、集団内でそれを分配するいわゆる結首制が採られた。また、蘭陽平原は蘭陽渓の扇状地であって広大な湧水地帯を抱えることから場所を問わず即地的に取水できる。こうした条件から、蘭陽平原の漢人入植者は散村形態を取り、各戸が防衛のため竹を植えて三合院の屋敷地を囲んだ。「竹圍」である。竹圍は西部では集落や都市を囲繞するものだが、蘭陽平原の散村ではひとつひとつの屋敷地を守るのである。竹圍は一般に防衛的(軍事的)性格を帯びた刺竹を植えるが、日本植民地支配により平和が確立されたため一般には伐採が進められた。ところが蘭陽平原は北東からの強風が苛烈なため刺竹を食用を兼ねた長枝竹や烏脚緑竹などに置き換えながらも竹圍の形態・景観は温存された。臨地調査では蘭陽博物館の蘇美如氏に専門的知識のご教示ならびに臨地調査対象の紹介を頂き、これを踏まえて数十の屋敷事例を対象とする歴史的変容過程の調査と、比較的原型を残す1事例を対象とする詳細な実測調査を行った。これにより特徴的な入植形態と地理的条件を背景とする軍事的空間装置に性格づけられた集落景観が、脱軍事的条件下でのその変容過程に強い影響を与えたことを把握できた。この成果は2024年度日本建築学会大会での学術講演にて発表予定である。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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