2020 Fiscal Year Annual Research Report
厳冬期における地震津波複合災害による人的被害予測モデルの構築と減災戦略の策定
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20H02403
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中嶋 唯貴 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60557841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和藤 幸弘 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90211680)
小山 真紀 (田原真紀) 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (70462942)
麻里 哲広 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90250472)
竹内 慎一 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 建築研究本部 北方建築総合研究所, 主査 (30462344)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 厳冬期 / 地震 / 津波 / 避難 / 積雪荷重 / 閉じ込め / 負傷 / 死亡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、人的被害予測モデル構築のためのデータ収集と人的被害評価モデルの検討を実施した。 ①現状の人的被害予測おける問題点の検討と減災施策の現況把握:厳冬期における地震の実態調査:これまでに、2018年北海道胆振東部地震において全世帯調査を実施し被害の実情を調査しており、このデータを用い積雪寒冷地における住環境について検討を実施すた。加えて、低体温症の死者も出ている東北地方太平洋沖地震など冬季の地震や道内における各種災害について北海道庁協力の元データ収集を実施した。特に、災害時の凍死や厳しい状況下における負傷程度ごとに余命時間の短縮に着目し、資料収集整理を実施した。加えて厳冬期を対象とした自治体の防災対策に関し、現状と問題点を明らかにすべく、北海道内の自治体・岐阜県内の寒冷な地区を対象とし、厳冬期における対策現況把握を行うとともに、道内避難施設の耐震性能データを継続収集した。 ②厳冬期の人的被害予測モデルの基礎的検討:現時点において、構築するモデルは、地震が発生した後、建物損傷、室内被害が発生し閉じ込めが発生するが、積雪荷重によりその人数は増大する。また、津波避難時には路面凍結により避難速度が低下する。本年においてはこの二つを指標とし、収集した実データを踏まえこれらのモデルに修正を加え、人的被害予測モデルの構築を実施した。加えて、釧路市を対象とし夏季にくらべ冬季の津波死者数が激増すること減災施策の効果が大きく減少することをあきらかとした。 ③減災手法の検討:夏季冬季における共通の課題として、室内閉じ込めや負傷に伴い避難ができない住民が多数発生する。これを防ぐための検討として、個人を対象都市道内の賃貸住居の安全性の検討や地震時の室内状況を瞬時に把握する手法の検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、過去の災害の事例収集を実施するとともに、積雪荷重と冬季の避難速度を用い釧路市において、地震・津波に伴う人的被害評価を実施した。結果、下記に比べ冬季には大幅に死傷者数が増加することが判明した。また、死傷者を軽減するための減災施策について夏季同様に冬季に実施した場合、その減災効果は著しく低下することが判明した。積雪荷重と避難速度にのみであるが夏季と冬季の違いが明らかになった。また、室内の被害の軽減のため賃貸住居の危険性や地震時の室内状況把握システムなど新たな減災施策の提案もおこなえており、本研究はおおむね順調に進んでいるといえる。ただし、コロナの影響により冬季の避難ビルの実態調査を一部次年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度実施できなかった冬季の避難ビル調査を継続実施するとともに、低体温症のモデルを構築するなど厳冬期の地震・津波による人的被害評価モデルの高精度化を試みる。また、その結果を用い自治体・世帯ごとの減災戦略の検討を実施する。
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Research Products
(5 results)