2020 Fiscal Year Annual Research Report
Depelopment of microporous TiO2-ZrO2-organic composite membranes with ultra-high permeability for organic solvent liquid phase separation
Project/Area Number |
20H02505
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 朋久 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (50284162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敬三 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 准教授 (60423555)
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膜分離 / セラミック / ナノろ過 / ガス分離 / キレート配位子 / チタニア / ジルコニア |
Outline of Annual Research Achievements |
1.TiO2-ZrO2-有機キレート配位子(OCL)複合ゲル粉体の特性評価 OCLとしてMethyl gallate (MG), Ethyl ferulate (EF), および3,5-di-tert-butylcatechol (DTBC) をTiとZrのアルコキシドに配位させ,ゾル-ゲル法によってTiO2-ZrO2-OCL複合ゾルを調製した.ゾルを乾燥させたゲル試料のTG測定,焼成した粉体試料のXRD,FT-IR測定を行った.600 oCで焼成した粉体試料のXRD測定により,結晶化ピークが観察されなかったことから,TiO2とZrO2の複合化が示された.TG測定により,試料中のOCLが段階的に分解することが示唆され,OCLの構造が異なることがFT-IRの結果から確認された. 2.TiO2-ZrO2複合アモルファス膜の作製と膜構造評価 多孔質基材上に,調製したゾルをコーティングして,300, 350, 500 oC(空気中),300 oC(N2中)で焼成することによりTiO2-ZrO2-DTBC複合膜を,300 oC(N2中)で焼成することによりTiO2-ZrO2-MGおよびTiO2-ZrO2-EF複合膜を作製した.ナノパームポロメトリー法や分画分子量測定,ガス透過測定を行うことで膜の細孔構造を評価した.TiO2-ZrO2-DTBC複合膜の平均細孔径は焼成条件に依存し,約1.0~2.0 nmであった.これらの膜の分画分子量は500~1700であり,この分子量相当の溶質分子径はナノパームポロメトリー法における平均細孔径と一致した.また,MGあるいはEFを配位させたTiO2-ZrO2複合膜は分子ふるい性を示すことが確認され,TiO2-ZrO2-MG膜のHe/CO2透過率比は約60倍を示した.有機キレート配位子の側鎖構造が異なることにより,透過選択性が異なることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目標は「高空隙率かつ細孔径制御されたセラミック膜材料のスクリーニングと膜作製および構造評価」を行うことであり,そのために,1) TiO2-ZrO2-有機キレート配位子(OCL)複合ゾル調製とTiO2-ZrO2-OCL複合ゲル粉体の特性評価を行い,その知見を,2) 高空隙型TiO2-ZrO2複合アモルファスネットワーク膜の作製と膜構造評価に生かすことであった. このような目標に対して,環状有機基を有するキレート配位子を用いてTiO2-ZrO2-キレート剤複合ゾル調製に成功した.乾燥ゲルのTG測定より有機キレート剤が分解する温度を同定し,焼成ゲル紛体の結晶性/非晶質性をXRD測定することにより,キレート剤種類および焼成条件による空隙率と多孔構造の違いを見極め,超ろ過膜に適した有機キレート剤,ゾル調整・ゲル焼成条件のスクリーニングを行った.また,それらのゾルを用いて実際に膜を作製することが可能であり,有機キレート分子を部分熱分解させて残存させた膜の細孔構造を評価したところ,有機キレート配位子種と製膜条件によりナノろ過膜からガス分離膜まで,分子オーダーでの細孔径制御が可能であった. このように,膜材料および製膜条件と膜の多孔構造の関係に関する知見を得ることができたことから,1年目の目標はほぼ達成できたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,「高空隙型TiO2-ZrO2-OCL複合薄膜の液体透過/ろ過特性評価を行う」ことを目標として,まず1) 純液体透過性評価を行う.1年目の細孔構造評価結果に基づき,いわゆる超ろ過レベル(細孔径0.5~1.5 nmを想定)の膜について,水およびアルコール(MeOH,EtOH,IPA),直鎖状アルカン,芳香族系環状有機溶媒の純成分透過性を評価する.溶剤分子と膜との親和性,細孔構造と各種液体透過性の関係に関する知見を得る.数MPa~10 MPaの圧力下での有機溶媒の透過・ろ過分離用の液体ろ過試験を行うために装置の改良を行う.そして,2) ろ過・分離特性評価を行う.超ろ過膜において分子量の異なるポリエチレングリコール(PEG:MW = 400~2,000)水溶液の分画分子量測定,色素(MW = 200~600)および塩(NaCl, MgSO4)の阻止率を測定し,ろ過膜としての特性評価を行いつつ,有機溶剤混合液の分離試験は,まず油/粒子のナノろ過試験を手始めとし,各種溶剤分子の分析環境を整えて,例えばメタノール/トルエン分子混合液のようなモデル液の分離性を評価する.さらに分子量や分子サイズ・形状等が異なる直鎖アルカン・アルコール類/芳香族環類の透過・分離を行うことで,各種溶剤分子の透過特性を解析し,どのような特性のろ過膜でどの分子混合物が分離可能であるかの指針を得る.
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