2021 Fiscal Year Annual Research Report
Depelopment of microporous TiO2-ZrO2-organic composite membranes with ultra-high permeability for organic solvent liquid phase separation
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20H02505
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 朋久 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (50284162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 敬三 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 准教授 (60423555)
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膜分離 / ナノろ過 / セラミック / キレート配位子 / チタニア / ジルコニア |
Outline of Annual Research Achievements |
1) TiO2-ZrO2-有機キレート剤複合膜の純液体透過性評価 芳香族環を有し側鎖の異なる2種類の有機キレート剤(OCL, 4-tert-Butylcatechol (TBC),3,5-Di-tert-butylcatechol (DTBC))を用いてTiO2-ZrO2-OCL複合ゾル調製を行い,これらOCLが残存する300 ℃窒素中で焼成することによりTiO2-ZrO2-TBC膜 (M-TBC)とTiO2-ZrO2-DTBC膜 (M-DTBC)を作製した.水,各種アルコール,トルエンなどの有機溶剤の透過率を測定したところ,側鎖が2つであるM-DTBCの方が高透過性能であることが確認された.また,溶剤の粘度,分子占有面積,ハンセン溶解度パラメータの極性項を用いて整理することで,有機溶剤透過特性評価を行った.両膜共にこれらの因子に対して同様の傾向を示し,OCLの違いによる明確な透過機構の違いは認められなかった.一方,分子シミュレーションにより芳香族環分子が存在することで水透過性能が向上することを明らかとした. 2) ろ過・分離特性評価 分子量の異なるポリエチレングリコール水溶液の分画分子量(MWCO)測定から,M-TBC, M-DTBCいずれの膜もMWCOは約400程度であった.溶媒にメタノール,溶質に色素であるMethyl Orange (MO, Mw = 327),Acid Red (AR, Mw = 635)を用いて,有機溶剤中の色素阻止試験を行ったところ,90%以上の阻止率が観測され,ARの阻止性能は同等,MOの阻止性能はわずかに側鎖が1つであるM-TBCの方が高いことが示された.また,M-TBCはメタノール/トルエン(90/10 wt%)混合液の分離試験においてメタノール選択性(トルエン阻止率約60%)を示し,有機溶剤分離性能を有することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標は「高空隙型TiO2-ZrO2-CmHn 複合薄膜の液体透過/ろ過特性評」であり,1) 純液体透過性評価で溶剤透過特性を明らかとし,さらに有機溶剤混合液の,2) ろ過・分離特性評価を行った. 昨年度の細孔構造評価結果に基づいてゾル調製・製膜を行い,いわゆるROレベルの膜について,水およびアルコールや芳香族系有機溶剤の純成分透過性を評価し,有機キレート剤の異なる膜の細孔構造と各種液体透過性に関する知見を得た.分子量の異なるポリエチレングリコール水溶液の分画分子量測定,メタノール中の色素阻止率を測定し,ろ過膜としての性能を確認し,さらに,メタノール/トルエン混合液をモデル液とした有機溶剤混合液の分離試験においてメタノール選択性が観測された. このように,有機溶剤のろ過分離性に関する知見を得ることができたことから,2年目の目標はほぼ達成できたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は,「TiO2-ZrO2 複合膜構造と液体透過性の相関について液体透過分子動力学シミュレーションを利用して実験的・理論的に明らかとする」ことを目標として,まず1) 高空隙型セラミック相の構造モデル作成と各種液体透過シミュレーションを行う.実験的に得られた予想されうるセラミック相の構造に関する情報を元に,非晶質多孔性セラミック構造モデルを構築する.透過液体分子と膜との相互作用を検討するために,膜表面及び細孔表面に-OH(極性基)や-CH3(非極性基)を有するモデルを作製し,自作の非平衡MD 液相透過シミュレーションプログラムに移植し,各種液体透過シミュレーションを行う.透過分子としては,水,アルコール,直鎖状アルカン,芳香族化合物を用いる.純液体透過性を評価し,膜の表面特性・細孔構造と各種液体透過性の関係に関する知見を得る.そして,2) 細孔内液相分子の透過機構のモデル化と超ろ過シミュレーションにおいて,有機溶剤分子の膜細孔への吸着性・細孔内拡散性および非平衡下での透過特性より,透過液体分子と膜との相互作用を考慮し,膜構造・液体分子種と液体透過性の関係を検討することにより,0.5~1.5 nmレベルの細孔における液相分子の透過機構のモデル化を行う.さらに,直鎖アルカン・アルコール類/芳香族類の二成分混合液の透過・分離シミュレーションを行って,純成分の透過モデルによる選択性予測と比較することで混合系特有の現象を解明し,どのような分子混合物が分離可能かを見極め,超ろ過分離の原理実証を行い,高透過性・高阻止性に有効な因子を明らかとする.シミュレーションで予測された透過・分離性能と実験的に観測される有機溶剤分離性能とを比較することによりモデルの妥当性と更なる高性能有機溶剤ろ過膜構造について検討する.
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