2022 Fiscal Year Annual Research Report
一次元ディラック電子系物質における巨大熱電応答と熱・電気エネルギー変換機能
Project/Area Number |
20H02603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 佳比古 東京大学, 物性研究所, 教授 (90435636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 洋一 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60750312)
山影 相 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90750290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ディラック電子 / 低次元電子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度と3年度に引き続きTa4SiTe4の単結晶を用いた反射率測定を行い、異方性を含めた光学伝導度の評価により、本物質の電子状態を解明した。一次元鎖と平行、垂直のいずれにおいても、低エネルギー領域において伝導度が低く抑制されており、~0.15 eVから伝導度の立ち上がりが観測され、ナローギャップの存在を示した。また、一次元鎖と平行方向の電気伝導率は垂直方向と比べて数倍大きいことを明らかにした。このような数倍程度の電気伝導の異方性とナローギャップの共存が、本物質における高い熱電特性の実現に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 Ta4SiTe4と類似した電子構造をもつと期待されるTa2Ni3Te5の単結晶試料の合成に成功した。さらに、TaサイトをTiにより系統的に置換し、正孔ドープした単結晶試料を合成し、これらの試料の熱電変換特性の測定を行った。その結果、Taサイトのうち5%をTiで置換した試料において、金属的な電気伝導を示しながら、室温で125 μV-1と、金属としてはかなり大きなSeebeck係数を示すことを明らかにした。出力因子は実用材料の値に匹敵し、今後、電子状態の制御によりさらなる高性能の実現が期待される。 これらの物質以外については、BaTiS3、BaTiSe3、Cr3Te4、Cr2Te3といった遷移金属カルコゲン化物を中心とする物質の合成と物性評価を行った。特に、BaTiSe3は一次元性とディラック電子が共存した電子構造をもつ候補物質である。合成された単結晶試料を用いた物性測定の結果、室温において500μV K-1もの大きなSeebeck係数を示したが、電気抵抗率は180 mΩ cmと熱電変換材料としてはかなり大きな値にとどまった。今後、化学ドープなどの手法によってキャリア数を制御し、電気抵抗率を低減させる必要がある。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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