2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨由来ナノアパタイトの特異的吸着機構解明と放射性物質の選択的除去・処分技術開発
Project/Area Number |
20H02671
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
関根 由莉奈 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (00636912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 鉄兵 東京大学, 大学院理学系研究科 (理学部), 教授 (10404071)
南川 卓也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (30370448)
松村 大樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (30425566)
深澤 倫子 明治大学, 理工学部, 専任教授 (40409496)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 吸着剤 / サステイナブル / 廃棄骨 / 食品廃棄物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家畜骨を原料にして、産業や鉱山開発において発生する有害元素を高効率に吸着するグリーン・サステイナブルな環境浄化材料及びシステムを実現することを目的とする。当該年度は、廃棄豚骨を原料に高効率にSrを吸着する材料の確立を目的とした研究を実施した。以前より骨には2価の金属イオンであるSrが蓄積されやすいことが知られていたが、既存の吸着剤と比較して吸着力が低く、材料としての応用検討が出来ない性能であった。その理由として、骨に残存するタンパク質等の有機物の影響が考えられた、そこで、廃棄豚骨を加圧加熱処理して肉残渣を除去し、さらに炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させてさらなるタンパク質除去を試みた。顕微鏡観察の結果、上記の処理により骨の無機成分でありSr吸着力を持つハイドロキシアパタイトからタンパク質が除去されていることが分かった。さらに性状を評価したところ、この処理により炭酸を多く含み、カルシウムが欠損したカルシウム欠損炭酸アパタイトが形成されていることが明らかになった。この材料のSr吸着性能を評価したところ、未処理の骨や既存の吸着剤に比べて飛躍的に高い吸着力を持つことが明らかになった。さらに、Srだけではなくカドミウムや鉛に対しても高い吸着性能を示した。このような吸着剤を実際の現場で用いる場合、吸着剤を固定化する必要性が生じる場合が多い。本研究では、セルロースを原料にして、廃棄の際に環境負荷の少ない、高強度吸着剤固定化材料の開発にも成功した。来年度は、廃棄骨を原料に処理による性能の違いや、結晶構造と物性の相関を評価し、さらなる高機能化を目指した開発研究を実施する計画がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より廃棄骨を原料にした高機能吸着剤の実現を目的としていたが、簡易な手法で予想以上の性能を持つ材料を実現することができた。そのため、本研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究で合成したカルシウム欠損炭酸アパタイトについて、研究分担者の専門を活かした構造分析を進め、より詳細な構造と物性の相関を解き明かすことを目的とした研究を実施する計画である。また、廃棄骨を原料にして、本研究チームの今まで培った知見を活かして様々な化学処理を試し、様々な放射性元素や有害元素に適した吸着材料および高機能材料の開発研究も進める。
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Research Products
(6 results)