2022 Fiscal Year Annual Research Report
3次元走査型AFMによる局所水和計測と疎水性相互作用の増強・抑制メカニズム解明
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20H02689
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淺川 雅 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 准教授 (90509605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生越 友樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (00447682)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 疎水性相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は疎水性表面に存在する固定化イオンが疎水性相互作用を「増強」もしくは「抑制」する調節機構を明らかにするために、固定化イオン周辺に存在する局所水和の構造・物性変化を理解することが目的である。疎水性平面モデルとして分子設計が容易で定量的な議論が可能であると考えているアルカンチオール自己組織化膜を用いた疎水性表面の調製方法を検討してきた。今年度は固定化イオンとしてスルホ基の密度を変化させた表面モデルを調製し、周辺相互作用の変化を3次元走査型原子間力顕微鏡(3D-AFM)で評価した。興味深いことに、イオン近傍の水和構造に由来する相互作用力分布に加えて、疎水性表面にも水和構造由来の相互作用力が広がっていることが分かった。これが疎水性相互作用に関与していると考えており、粒子探針を用いた吸着力実験を検討する計画である。 さらに前年度から、疎水性空間モデルとして、ピラー[n]アレーンおよびテトラポッド型分子の二次元結晶用の単分子層の調製と3D-AFM計測を実施してきた。本年度は、テトラポッド型分子間に可視化された引力分布の解析を中心に実施し、これが1ナノメートル程度の疎水性空間に閉じ込められた水分子とバルク中の水分子の違いであるという結論が得られた。この引力分布によってナノ空間にゲスト分子が捕捉されると考えており、水中におけるホストーゲスト相互作用の理解に大きく貢献できるモデル構造であると考えている。来年度以降はゲスト分子との相互作用と水和構造の関係について検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固定化イオンの密度を変化させた際の水和構造変化やテトラポッド型分子間に存在する特徴的な引力分布の理解が深まっており、疎水性相互作用との相関を議論するための情報がえられつつあるため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに計測できるようになった固定化イオン周辺の水和構造変化やテトラポッド型分子間の引力分布に関して、さらに実験・理論の両面から知見を深め、疎水性相互作用の理解に繋げていくのが最終年度の方針である。
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Research Products
(2 results)