2023 Fiscal Year Annual Research Report
2原子間の化学結合に伴う分子軌道形成過程の直接観察
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20H02697
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
稲見 栄一 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (40420418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 真之 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (00362666)
勝部 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00831083)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 原子・分子物理 / 化学結合 / 表面・界面物性 / 機能性ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子間力顕微鏡/走査トンネル顕微鏡の複合装置(AFM/STM)に超短電圧パルス制御技術を組込み、2原子の化学結合における分子軌道の形成過程をエネルギースケールで捉える手法(超短電圧パルストンネル分光法:USVP-STS)を開発する。 令和4年度までの研究で、装置の設計・構築、及び動作テストが完了し、Si(111)-(7x7)表面を用いた測定を行った。その結果、USVP-STSによる測定データが従来のSTM計測データを十分に再現することを明らかにした。さらに、電流-電圧曲線の形状が、パルス電圧の印可タイミングに応じて変化する様子も捉えた。この結果は、探針先端1原子と試料表面1原子間の距離変化に応じて電子構造が孤立原子から2原子分子の状態へ遷移する過程に対応しており、以上を以て、本測定原理を実証できた。 一方、測定データのノイズが問題となり、解析で得られる微分コンダクタンス、および規格化微分コンダクタンスの信頼性は乏しかった。そこで、最終年度は測定データの再現性と精度向上のため、システムの改善を試みた。具体的には、制御系の自作プログラムを見直した。高サンプリング周波数でデータを取得し、後工程でフィルタリング処理を施すように変更した。また、測定直後に必要なデータをリアルタイムで表示する機能を実装し、測定の効率化を図った。改善されたシステムでSi(111)-(7x7)表面を対象とした電流-電圧曲線の再計測を行った結果、ノイズレベルを大きく低減させることに成功した。しかし、微分コンダクタンスと規格化微分コンダクタンスの信頼性には依然として改善の余地があることも判明した。今後は、更なるデータの質向上を目指し、低温環境での計測を行うことでUSVP-STSの測定精度の向上、さらにその実用化が期待できる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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