2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of Innovative Theoretical Approaches for the Design of Amorphous Organic Semiconductors
Project/Area Number |
20H02716
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小関 史朗 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80252328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻田 俊雄 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10285314)
池田 浩 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30211717)
八木 繁幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40275277)
内藤 裕義 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90172254)
松井 康哲 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90709586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アモルファス有機半導体 / キャリア移動度 / 正孔輸送材 / 量子化学計算 / 理論シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
理論計算グループ(小関・麻田)は,2020年度にアモルファス中の移動度を計算する新規アルゴリズムの確立を目的として,既報の方法を用いて市販されている種々のアモルファス有機半導体のキャリア移動度を計算し,正孔輸送材料分子の絞り込みを行った.本年度はさらに,(1) 電荷移動度を求める独自の統計的計算手法であるSuccessive Conduction (SC) モデルに対して,多体効果を含めることで比較的大きなパイ共役系をもつ分子や対称性が高い大きな分子にも利用できるように拡張した.(2) アモルファスにおいて目的の電荷移動度をとる分子設計システムを構築した. 有機合成グループ(池田・松井)は,機械学習で高移動度の半導体となることが期待されたジチエノベンゾチアゾール骨格の誘導体化を行った.母骨格の構築は,Scholl反応により達成し,続く根岸カップリングおよび鈴木宮浦カップリング反応により,4種類の誘導体を合成した.電界効果トランジスタを作成したところ,アルキル誘導体が中程度の移動度を示した.また,年度後半には,やはり高移動度が期待されるベンゾトリチオフェン誘導体の合成にも着手し,主骨格の構築法を確立することができた.さらに,もうひとつの有機合成グループ(八木)は,塗布型有機電子デバイスに応用可能なp型高分子半導体の開発を目的として,高い三重項準位を有するp型および両極性低分子有機半導体をアクリレート官能基で修飾したモノマーを合成した. デバイス作製・評価グループ(内藤)は,現有の通常のインピーダンス分光系に加え,多数の有機半導体を高速でインピーダンス・スペクトルを測定できるtime-stretched pulse(TSP)を用いた分光系を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論グループは,(1) 電子密度を分子軌道の分布に依存するように改訂し,ホッピングモデルを用いた拡張型SCモデルを開発した.これを用いて,実験結果と整合性がある計算結果を得ることに成功している.また,従来のKMC法のプログラムも作成し,SCモデルとの比較検討を行うことができる体制が整った.この方法は,SCモデルに比べて50倍以上の計算時間がかかるものの,実際の電荷移動状況を追跡できるメリットをもち,拡張型SCモデルの信頼性を高めるための微視的情報を与えてくれる.(2) AI (random forest法) を用いて目的の移動度と複数の物理パラメータの関係を抽出することに成功した.AIを十分に機能させるために,過去の文献を詳細に調査することで400分子に及ぶデータベースを作成した.さらに,深層学習により分子の合成容易性と構造形成規則を得た.これらを利用して目的の物理パラメータを再現する分子構造提案システムを作成することに成功した. 有機合成グループは,1,1':3',1''-ターフェニルおよび2,6-ジフェニルピリジンを基盤骨格とするカルバゾール系p型および両極性有機半導体に,アクリレート官能基を導入したモノマーの合成に成功した.予備的な重合反応を試みた結果,8~9量体程度のオリゴマーが得られることを確認した. デバイス作製・評価グループは,通常のインピーダンス分光系では1分程度かかるインピーダンス・スペクトル測定が2秒以下で測定できることを実証した.
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Strategy for Future Research Activity |
理論グループは,(1) 分子集合体においてKMC法を用いて解析した結果は,特定の分子対に長時間電荷がトラップされることを示しており,それは電荷移動度の方向の不均一性によるものであることが明らかになった.それゆえ,今後は,酔歩モデルに改良を加え,異方性を考慮したものにすることにより高い信頼度を得ることを目指す.(2) 深層学習による分子設計システムでは,学習する分子数を25万ほどに増やし分子骨格形成規則の信頼性を高くしたものの,計算コストが高くなってしまった.そこで,材料の分野で比較的よく利用される環構造を有するものだけに絞り,材料設計に適した効率的学習を行うように改善する方針をとることにした. 有機合成グループでは,(1) 当該モノマーは立体障害が大きいため,重合の進行が遅いと考えられる.比較的立体障害の小さなp型コモノマーを共重合することで高分子化することを目指す.また,合成したポリマーの半導体特性の評価,さらにはOLEDなどの有機電子デバイスへの応用について検討する.(2) 当該A-D-A型蛍光色素について,発光特性と半導体特性の両方の側面から,有機電子デバイス用材料としての有用性について物性評価を行う. デバイス作製・評価グループでは,インピーダンス・スペクトルの高速測定のみならず,インピーダンス・スペクトルから電子物性を瞬時に算出できる機械学習を用いた手法を開発し,電子物性評価を極めて短時間で完了させる測定法・解析法を確立する.これらにより,開発された有機半導体の電子物性を評価する.
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[Presentation] Pressure Responsiveness to Fluorescence Properties of Crystals of Organoboron Complexes Possessing the [2.2]Paracyclophane Moiety2021
Author(s)
Shun Irii, Takuya Ogaki, Takumu Ari, Shun Yamamoto, Hana Miyashita, Kazutaka Nobori, Hiroki Iida, Yoshiki Ozawa, Masaaki Abe, Hiroyasu Sato, Eisuke Ohta, Yasunori Matsui, Hiroshi Ikeda
Organizer
2021年光化学討論会
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[Presentation] テトラチエノナフタレン基盤有機半導体のパッキング構造に対するアルキル鎖長効果2021
Author(s)
大垣拓也, 久米田元紀, 谷口公哉, 山本惇司, 末永 悠, 服部励太郎, 佐藤寛泰, 松井康哲, 太田英輔, 麻田俊雄, 内藤裕義, 池田 浩
Organizer
第45回有機電子移動化学討論会
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