2020 Fiscal Year Annual Research Report
深層学習に基づくイネバイオマスの汎用的推定モデル構築とその応用
Project/Area Number |
20H02968
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 佑 京都大学, 農学研究科, 助教 (50634474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
辻本 泰弘 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, プロジェクトリーダー (20588511)
高井 俊之 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (40547725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イネ / 深層学習 / 画像解析 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
作物の地上部全乾物重(以下バイオマス)は最も基本的かつ重要な生育情報である.本研究では,近年著しく進歩しつつある機械学習の一手法である深層学習を応用し,群落の可視画像から多様なイネのバイオマスを高精度に推定する汎用的モデルを作成する.さらに簡便かつ高精度な非破壊推定技術に基づいた,イネバイオマスの遺伝的・空間的変動評価系を確立することを目指す. 2020年度は,主に本研究計画の基盤となるバイオマス推定モデルを構築した.京都大学,および東京農工大学において水田に生育する隣接2株のイネを中心とした可視画像を撮影し,対応するバイオマスを実測することでデータベースを構築した.収集したバイオマスデータは2579点,対応する画像は複数枚を撮影することで12183枚に達するデータベースとなった.これらを対象に深層学習モデルを構築した.構築したモデルは,検証用データに対してR2値が0.95,相対平方根平均二乗誤差(rRMSE)が18.6%の高い精度でバイオマスを推定することができた.特に,これまで他の非破壊調査手法では誤差が大きくなる傾向にあった高バイオマス領域においても本モデルは高い推定精度を維持しており,およそイネの出穂後1週間程度までのバイオマス推定が可能であった. 一方,モデル構築に用いなかった未知の品種から構成される予測用データに対しては,およそ9.1t ha-1以下のバイオマスに対してはR2値が0.87,rRMSEが27.7%の精度を示したものの,それ以上の高バイオマスを有する群落に対しては正確な推定値を出力できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,イネの群落画像からバイオマスを推定する深層学習モデルを構築することに成功した.さらに本モデルをwebおよびスマートフォンアプリケーションに搭載するための準備も予定通り進捗している.以上のことから,本研究計画はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
バイオマス推定モデルに関しては,予測データセットにみられたように,特に高いバイオマスを有する未知品種の画像に対しての推定精度をさらに向上させる必要がある.そのため,追加的なデータの取得を進める.さらに,隣接する2株を対象とした画像解析では,実際の農家圃場に適用するには範囲が狭いという課題がある.そのため同様の方法論に従って1m2を対象とした群落画像から,バイオマスを推定する深層学習モデルを構築する予定である.
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