2021 Fiscal Year Annual Research Report
Develpment of agricultural information system for smarter water managemet of land improvement districts
Project/Area Number |
20H03101
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長野 宇規 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70462207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 教授 (30293921)
吉川 夏樹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90447615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 土地改良区 / スマート / リモートセンシング / 蒸発散 / 浸水 |
Outline of Annual Research Achievements |
農地判別について,平坦地においては10a以上の農地区画で,中山間地においては20a以上の区画において,カッパ係数0.80以上の実用レベルで水稲,大豆,耕作放棄地の判別が可能となった.また水稲の移植日について,兵庫県,新潟県の全県レベルで検証した結果,各市5日以内の精度で推定が可能となった. 末端水路用水量について,滋賀県愛知川扇状地内の水田地区において観測を継続した.受益地全体においては,土地改良区によって気象条件による地表水取水量の変動を補完するように地下水を利用していることを示し,さらに,分水工取水強度が十分でない末端分水工掛では,水利組合によって降水量や栽培管理状況に応じた揚水機管理によって便利な水として地下水を利用していることを示した.また,自動給水栓を設置した圃場では,中干し後に常時湛水管理をする傾向にあることを明らかにし,用水量と浸透量が増加する懸念があることを示した. 浸水予測については,モデルの普及性を高めるためソースコードを変更することなく,外部入力データの作成のみで計算できる「汎用モデル」を構築した.このモデルをこれまでに構築した新潟平野の5流域(刈谷田川右岸,亀田郷,白根郷,新津郷,西蒲原),勾配が大きく斜流が発生する流域(栃木県田川流域,姿川流域,杣井木川流域,三重県安濃川流域)のモデルに適用した結果,モデル構築にかかる作業時間が大幅に軽減できることが示された.この汎用モデルによって,数値計算に不慣であっても内水氾濫解析モデルを扱うことができるようになった.現在,マニュアル作りを進めてている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は土地改良区用の農業情報システムを開発することを目的としており,準リアルタイムでi)水田の水入れ状況,ii)作付け分布,iii)末端水路用水量,iv)予想収量,v)大雨時浸水予測情報の提供を目指すものである.このうちi),ii),v)については実用レベルの精度を達成した.本年度はこれらに加え,新たに時系列衛星画像を用いてため池の貯水量を監視する研究に着手した.農地の需要と水源の供給可能量双方を監視することでより実用的なシステムの開発を目指している. iii)については水田における水文観測を継続しており,減水深,取水量,蒸発散量といった水収支項目のデータは蓄積し,データ解析を進めてきた.また衛星画像やドローンを用いた実蒸発散量の計測も進めている.iv)については検証データの入手を次年度の課題とする.v)については土地改良区を含め,幅広く浸水予測モデルを活用していただくことを目指し,モデルの汎用化を進めている.開発は概ね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
衛星画像解析については画像取得から判別までの作業を自動化するためのアルゴリズム開発を進め,衛星画像取得から2週間以内の情報提供を可能とすることにより,耕作期間中観測事例の蓄積に従い精度が向上する情報提供を受益者に対し行う.このことにより災害対策と耕作期末での情報の正確性双方を担保する.作付け状況については全国レベルでの解析ができる体制を整える.また,ワークショップを複数回開催し,情報利用者からのフィードバックが得られるよう努める. 減水深の違いによる必要用水量を水田地区の整備状況などの違いに応じて推定することを目指す.浸水予測モデルの社会実装に向けて,各地域におけるモデルを構築するための手続きを記したマニュアルを完成させることを目指す.
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Research Products
(7 results)