2020 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な生理病理現象を制御する新奇ジアシルグリセロールリン酸化経路群の分子機構
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20H03205
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂根 郁夫 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (10183815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジアシルグリセロールキナーゼ / ジアシルグリセロール / ホスファチジン酸 / がん免疫 / セロトニン神経系 / ドパミン神経系 / 糖尿病 / ホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC |
Outline of Annual Research Achievements |
最近,新開発の独自手法を用いて,ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)のα, δ, η, ζ, θアイソザイムが基質とするジアシルグリセロール(DG)分子種(もしくは産生するホスファチジン酸(PA)分子種)は,従来の定説に反し「ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転とは独立し,それぞれが異なる脂肪酸を利用する未知の経路群」により供給されることを示した.しかし,これらの経路の構成因子や分子マシーナリーは未だ不明な点が多いので,それらを明らかにすることを目的として研究を進めた. 1.DGKαがT細胞中で産生するPA分子種を明らかにした(論文発表済).DGKαとPD-L1の組み合わせ阻害が,相乗的に免疫を活性化してがん細胞死滅を誘導することが分かった(論文発表済).膜形態がDGKαの基質選択性に及ぼす影響を報告した(論文発表済).2.DGKαとζの組み合わせ阻害が相乗的にがん細胞死とT細胞活性化を起こすことを明らかにした.3.DGKδが産生するPA分子種とその標的を明らかにし(論文発表済),更に,DGKδ上流のDG供給酵素としてスフィンゴミエリン合成酵素関連蛋白質を同定し(論文発表済),その新規の酵素活性を示した(論文発表済).DGKδの膵臓β細胞での役割を明らかにした(論文発表済).4.DGKηの筋芽細胞分化における役割を報告し(論文発表済),また,脳神経系のドパミン神経系を制御することを明らかにした(論文発表済).DGKηとASK3の相互作用を示した(論文発表済).DGKηの細胞内活性測定法を開発した(論文発表済).5.多価不飽和脂肪酸の標的としてL-乳酸デヒドロゲナーゼ(論文発表済),シナプトジャニン1(論文発表済),AP-180(論文発表済)を同定した.6.PAセンサーを開発し(論文発表済),それ利用してPAの神経細胞中の局在を示した(論文発表済).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,研究目的・計画に即して研究を行い,全ての項目において進捗が見られた.また,研究項目に関して,既に多数は論文を発表済みであり,また,幾つかは論文投稿中あるいは論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,研究目的・計画に即して研究を行う.また,進捗のあった項目については更に前に進める.
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