2021 Fiscal Year Annual Research Report
Structural basis and reaction mechanism of [FeFe] hydrogenases
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20H03215
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
緒方 英明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (30795935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素 / 金属酵素 / ヒドロゲナーゼ / クライオ電顕 / 電子伝達分岐 / 鉄硫黄クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドロゲナーゼは多くの微生物が持つ金属酵素で、水素分子の分解や合成を可逆的に触媒する。本研究では、2つのタイプの[FeFe]ヒドロゲナーゼの反応機構の解 明を目指す。電子伝達分岐型[FeFe]ヒドロゲナーゼは、2つの異なる酸化還元電位をもつ電子伝達体(フェレドキシンとNADH)から電子を受け取り、活性中心であ るHクラスターで水素を合成する。この特異な電子伝達に関してどのようにして活性中心へ伝達されるのか(活性中心やフラビン・[FeS]クラスターの酸化還元状 態)を、分光学的手法や構造解析により明らかにする。また、水素センサーと考えられている調節型[FeFe]ヒドロゲナーゼの活性中心の酸化還元状態を分光学的 手法により明らかにする。本年度は、[FeFe]ヒドロゲナーゼ遺伝子(電子伝達分岐型HydABCと調節型HydS)を、それぞれベクターに導入し大腸菌による発現系を 構築しモデル化合物を挿入することによって人工的に成熟化した。これらの[FeFe]ヒドロゲナーゼのさまざまな酸化還元状態を電気化学的FTIR分光法で解析した。調節型[FeFe]ヒドロゲナーゼ の活性中心近傍のプロトン輸送経路と予想されるアミノ酸に対して変異体を導入し水素酸化活性を測定し、 ある変異体で水素酸化活性がほとんど消失していることを明らかにした。さらに、電子伝達分岐型[FeFe]ヒドロゲナーゼのクライオ電子顕微鏡法による構造解析をドイツ・マックスプランク研究所と英国・ヨーク大学と共同で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[FeFe]ヒドロゲナーゼ遺伝子(電子伝達分岐型HydABCと調節型HydS)を、それぞれベクターに導入し大腸菌による発現系を構築しモデル化合物を挿入することによって人工的に成熟化した。これらの[FeFe]ヒドロゲナーゼのさまざまな酸化還元状態を電気化学的FTIR分光法で解析した。活性中心近傍のプロトン輸送経路と予想されるアミノ酸に対して変異体を導入し水素酸化活性を測定し、ある変異体で水素酸化活性がほとんど消失していることを明らかにした。また、電子伝達分 岐型[FeFe]ヒドロゲナーゼの電子顕微鏡による構造解析をドイツ・マックスプランク研究所と共同で行った。英国・ヨーク大学との共同研究によりクライオ電子顕微鏡法での電子伝達分岐型HydABCの立体構造を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
調節型ヒドロゲ ナーゼはPASドメインが異なるタイプのヒドロゲナーゼの発現系を構築し、その分光学的特徴をFT-IR法などを用いて調べる。さらに分光学的手法を用いて活性中心の電子状態変化を測定し、また、さらなる変異体導入などによりプロトン伝達経路を明らかにする。クライオ電子顕微鏡法で明らかとなった立体構造をより詳細に解明するために、電子伝達分岐型[FeFe]ヒドロゲナーゼを高純度に精製し結晶化・X線結晶構造解析も引き続き試みる。これらを総合して[FeFe]ヒドロゲナーゼの反応機構の解明に取り組む。
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