2022 Fiscal Year Annual Research Report
Arbuscular mycorrhizal symbiosis in broad-leaved deciduous forests
Project/Area Number |
20H03318
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富松 裕 山形大学, 理学部, 教授 (40555398)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 夏緑樹林 / アーバスキュラー菌根 / 菌根共生ネットワーク / DNAメタバーコーディング分析 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、北日本の夏緑樹林を対象として、植物とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)による共生の実態を詳細な野外観測から明らかにすることを目的としている。昨年度、落葉高木であるヤチダモを対象として、生活史の初期過程におけるアーバスキュラー菌根(AM)共生の時間動態について調べた。引き続き、今年度は落葉高木であるハルニレと林床草本であるエンレイソウとスミレサイシンを対象として、生育段階の異なる個体の菌根共生率を調べた。その結果、ハルニレでは実生の出現から約4ヶ月が経過しても菌根共生率は20%程度で、成木(約40%)と比較して低く、ヤチダモと同様に菌根共生率は緩やかに上昇すると考えられた。エンレイソウとスミレサイシンにおいても、当年生実生や1年生以上の幼植物の菌根共生率は、成熟個体に比べて有意に低かった。また、どの植物種でも、菌根共生率と地上部の乾燥重量との間には有意な正の相関関係が見られた。昨年度の結果とあわせて、森林生植物では生活史初期においてAM菌根共生を発達させる時間スケールが緩やかであり、共生関係は植物種や生育環境による成長速度の差に応じて制御されている可能性が示唆された。また、同一群集内に生育する林床植物を対象に、菌根共生を含む細根形質の測定を行った。その結果、形質には種間で大きな変異が見られ、種によって多様な栄養塩獲得戦略をもつことが明らかとなった。主成分分析を行った結果、第1主成分はAM菌への依存度が異なる種間変異を反映していることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症による影響により野外調査において制約が生じたことにより、作業がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度、遅れている作業を継続して行う。特に、次世代シーケンサーによる分析については、投稿論文を作成する。
|
Research Products
(1 results)