2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of primary cilia formation by the ubiquitinーproteasome system
Project/Area Number |
20H03448
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
笠原 広介 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (90455535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 崇 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00582678)
山川 大史 三重大学, 医学系研究科, 助教 (20631097)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一次線毛 / ユビキチン / 細胞増殖 / p27Ki1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一次線毛の形成制御機構を明らかにするため、研究代表者らが一次線毛の新規制御因子として同定した脱ユビキチン化酵素群(USP8, USP38, USP43, USP52, USP54, UCHL3)やcyclin/CDK阻害因子p27Kip1、KCTD17の機能解析を実施し、これらの分子群及びシグナルカスケードを分子標的とするとことで、一次線毛の形成動態による癌細胞増殖制御の可能性を検証することを目的とする。 本年度は主に、p27Kip1ノックアウトRPE1細胞株を用いた解析を実施し、以下のことを明らかにした。1)p27Kip1が一次線毛の形成に必要不可欠であること、2)ノックアウト細胞では、一次線毛形成過程における最も初期段階である基底小体(basal body)への小胞(ciliary vesicle)の輸送が阻害されていること、3)一次線毛の形成に必要なp27Kip1の最小領域として86-140アミノ酸領域を同定した。これらの研究成果は、細胞増殖や癌における重要因子として知られているp27Kip1の新たな機能として一次線毛の形成制御があることを明らかにし、細胞増殖や癌の新たなメカニズム解明に発展することが期待できる。 また、KCTD17のノックアウトゼブラフィッシュを用いた解析から、個体レベルにおいてもKCTD17がクッペル小胞における一次線毛の正常な形成に必要であること、ノックアウトゼブラフィッシュが線毛病の一つである内臓逆位を呈することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請した研究計画どおり、p27Kip1及びKCTD17による一次線毛制御の分子機構や個体レベルでの生理的意義を明らかにし、研究成果をBiochem. Biophys. Res. Commun. 527:716-722 (2020)及び、Int. J. Mol. Sci. 21:5962 (2020)に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者らによって同定された一次線毛の制御因子であるトリコプレンやKCTD17の個体レベルでの機能解析を進めるため、ノックアウトマウスを作製して解析を進める。これまでにトリコプレインのノックアウトマウスは、野生型と比べて高脂肪食摂取による肥満に対して抵抗性を示すこと、脂肪前駆細胞において野生型よりも長く伸長した一次線毛を持つことなどの知見を得ている。これらの知見を元に、トリコプレインのノックアウトによる一次線毛異常が脂肪細胞分化に及ぼす影響や制御メカニズムを明らかにし、肥満やそれに伴う代謝異常などの原因を解明することを目指す。
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Research Products
(3 results)