2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of intracellular environmental factors that produce a risk for alpha-Synuclein seeding
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20H03453
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今居 譲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (30321730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井下 強 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20601206)
柴 佳保里 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30468582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | α-Synuclein / 脂質 / ミトコンドリア / リソソーム / ショウジョウバエ / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)はドパミン神経変性による運動障害を主徴とし、α-Synuclein陽性の神経封入体・レヴィ小体が変性部位に蓄積する神経変性疾患であると考えられてきた。ところが、昨今の大規模疫学調査から、運動症状の約20年発症前から非運動症状が前駆症状として現れていることが明らかとなってきた。さらに、非運動症状の責任神経回路でレヴィ小体が陽性であること、病因α-Synucleinの種が神経回路を伝搬していくことが動物実験において再現できることから、PDではα-Synuclein凝集形成というイベントが神経回路を上行して伝搬するプリオン病である、という概念が確立しつつある。この概念に基づき、約20年から生じる病因α-Synucleinの種の形成を抑制することが、PDを最も効果的に防ぐ手段になると考えられる。α-Synucleinの種の形成リスクを解析するためには、レヴィ小体が顕著にできる遺伝性PDを解析する必要がある。そこで、広範囲にレヴィ小体が蓄積するミトコンドリアタンパク質CHCHD2変異(PARK22)およびリン脂質ホスホリパーゼPLA2G6変異(PARK14)が原因となるPDに注目した。本研究ではモデルハエ、iPS細胞、臨床試料(死後脳、血液)を組み合わせて、ミトコンドリアと脂質の変調がいかにα-Synuclein種形成のリスク要因となるかを分子レベルで明らかにすることを目的とする。 本年度は、まずCHCHD2変異ハエ、CHCHD2変異のあるヒトiPS細胞由来ドパミン神経からRNAseqを実施し、2モデルでの比較を実施した。さらにミトコンドリア・リソソーム機能に関与する分子のスクリーニングを実施した。PLA2G6に関しては、Elovl7関連ハエ(ノックアウトおよびトランスジェニック)およびGBA1関連ハエ(ノックアウトおよびトランスジェニック)を用意し、これらハエ系統の遺伝的相互作用解析、脂質解析、RNAseqを実施する準備を整えた。臨床試料については、PDおよび健常者の採血を終え、脂質解析の準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大のため、年度前半は研究活動が大幅に制限された。また臨床大学院生もCOVID-19患者対応のため研究時間に影響がでた。そのため、ハエ系統の作製、RNAseqなどは外注で対応した。一方、研究活動が制限された期間は総説を執筆する時間として活用した。予定に大幅な修正を迫られたものの、これらの対応から総じて計画は予定通りと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
PLA2G6と組み合わせた脂質関連PDリスク遺伝子(Elovl7, GBA1, LIMP2, ATP10B)について、遺伝的相互作用解析、脂質解析、RNAseqを進める。並行して、収集を終えたPDおよび健常者の赤血球からリン脂質解析を実施する。CHCHD2に関しては、リソソームの活性を評価できるハエを樹立したため、RNAseqで得られたリソソーム制御因子候補を細胞モデルと当該レポーターハエにてスクリーニングする予定である。
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