2020 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝解析からとらえる運動毛機能異常による水頭症および認知症の病態生理
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20H03591
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉浦 孝一郎 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻野 彰 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (70423639)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CFAP43 / 運動繊毛 / 水頭症 / 遺伝子発現プロファイル / 上衣細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当教室では,ヒトのCFAP43遺伝子変異が正常圧水頭症の原因の一つであることを明らかにし,病態解析のためにCfap43遺伝子ノックアウトマウスを作出した。Cfap43遺伝子ノックアウトマウスを解析することによって,医療に役立つ水頭症の病態生理を明らかにし,シャント術有効例・無効例の事前予測因子の取得,水頭症発症のリスク予測,を目標とする。また,motile cilia(運動繊毛)関連の遺伝子群が,日本人の水頭症・認知症のリスク因子であるかを,臨床検体を用いて検証することが,本研究の目的である。 1.Cfap43 遺伝子ノックアウトマウス(KOマウス)の解析 側脳室上衣細胞層が水頭症発症のキーとなっている細胞と考えられている。KOマウスにおいて側脳室上衣細胞の機能変化を見ることが病態解析の近道と考え,細胞単離から RNA-seq を試みた。成獣マウスの脳を取り出しメスで割を入れて側脳室を露出し,冷却したバッファーに浮かべることで,上衣層細胞が薄く白く剥離しやすくなる。そこで,上衣細胞の単離が容易になる。単離した細胞は,実体顕微鏡下で繊毛をもつことが確認出来た。培養は最小限として,RNA 発現プロファイルから上衣細胞層が単離出来ていることの確認を行い,確実に上衣層細胞が分離できていることを確認した。
2.運動毛構成タンパク遺伝子群 のpick-upと変異解析 運動繊毛構成タンパク遺伝子群のエクソン領域の濃縮キャプチャー用の修飾オリゴヌクレオチドをデザインした。運動繊毛の変異は,CFAP43同様に水頭症や認知症の原因となっている可能性がある。神経内科や脳神経外科の医師に収集してもらう認知症や水頭症患者に対して,次世代シークエンサーを用いて遺伝子変異スクリーニング系を立ち上げた。選択した遺伝子は99遺伝子である。正常者DNAを用いてスクリーニング系が機能することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス神経上衣細胞層の単離にてまどったが,探知できるようになり,RNA-Seq データが取得出来るようになった。臨床検体の収集は遅れているが,自ら実験材料を入手出来る部分については,順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-Seq から重要遺伝子群を選択し,水頭症発症のキーとなる遺伝子群を明らかにする。それら遺伝子については,マウス生体における機能変化を検証しつつ,当該遺伝子のノックアウトマウスを作成して病態基盤の解析を進める。 CFAP43遺伝子の一般集団変異頻度は,一般集団日本人のアレル頻度を公共のデータベースから探索し,また選び出した運動繊毛構成タンパク遺伝子群の変異アレル頻度(truncation タイプアレル頻度)を算出する。
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Research Products
(6 results)