2020 Fiscal Year Annual Research Report
A new view of microangiography with high spatial resolution, high contrast resolution, and high time resolution using synchrotron radiation
Project/Area Number |
20H03617
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
松下 昌之助 筑波技術大学, その他部局等, 名誉教授 (70359579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 訓 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
塚田 亨 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (20866850)
酒井 俊 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30282362)
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
徳永 千穂 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30451701)
坂本 裕昭 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30611115)
兵藤 一行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60201729)
三好 浩稔 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70292547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射光 / 血管造影 / 高分解能 / 微小血管 / 微小塞栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では、本研究は放射光施設で、高性能受像体(CMOS: ORCA-Lightning:浜松ホトニクス)を用いて、血管造影法により下記の病態(5領域)の微小血管を可視化することにある。①冠微小血管障害、②腎糸球体血流障害、③肺高血圧、④敗血症と末梢血管循環障害、⑤腫瘍微小環境と血管。 しかし、2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、高エネルギー加速器研究機構(KEK)放射光施設での実験そのものが2020年度上半期は中止となった(https://www2.kek.jp/imss/notice/2020/04/091400.html)。2020年度下半期には再開になったが、KEKを利用する各実験グループが等しく実験時間の半減を余儀なくされており、われわれの実験も当初の計画の半分しか実施することができなかった。 実験計画の5領域のうち、②腎糸球体血流障害、④敗血症と末梢血管循環、⑤腫瘍微小環境と血管の実験を行った。 ②の腎糸球体血流障害実験は、ラットの右腎を30分間虚血と再灌流を行い、対照の左腎(健側)との比較を行った(虚血再灌流実験)。④では、ラットにLPSを腹腔内投与し、急性敗血症モデルを作成した。ここでも腎動脈造影を行い、敗血症の腎糸球体灌流への影響を調べた。⑤では、ラット大腸がん腫瘍株(RCN9細胞)を頸静脈より注入し、免疫抑制剤を投与の上、4週間後に肺動脈造影を行い転移性腫瘍の腫瘍内血管を可視化した。②、④、⑤で撮像された腎臓と肺の摘出標本はすべて病理スライドにし、また、冷凍保存した。冷凍保存標本は今後の解析に用いられる。微小血管は血管径30μmまで可視化可能であった。一方、呼吸や心拍動によって狭い視野を移動する臓器(肺、腎臓)の画像鮮明化に関しては、薬物を用いた一時的な呼吸、心拍の徐拍化が必要であり、この技術の修練が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、研究の1年目であったが、「研究実績の概要」で述べたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、放射光施設である高エネルギー加速器研究機構での実験が半年間中断となった。そのため、予定の半分しか研究を遂行できなかった。 研究は、②腎糸球体血流障害、④敗血症と末梢血管循環、⑤腫瘍微小環境と血管の3領域で実施された。実験動物にはいずれもWistar rat (male)を用いた。撮像系は、線源として放射光由来単色X線を用いた。受像体は高性能のCMOS(ORCA-Lightning:浜松ホトニクス)を用いた。造影剤は非イオン性の30%ヨード液を用いた。自動注入器により2 ml/secの容量で、対象の臓器灌流に応じて、腹部大動脈もしくは頸静脈より注入した。②の腎糸球体の血流障害では、右側腎血流を30分遮断して再灌流を行った。対照の左腎と比較を行った。④では、LPSを投与した急性敗血症モデルの腎末梢循環を調べた。末梢循環系において血管透過性の亢進を示唆する所見が得られた。⑤では、大腸がん由来の腫瘍細胞(RCN9:1×10^6/匹)を投与し、4週間後に放射光肺動脈造影を行った。腫瘍内に腫瘍内微小血管を確認することができた。血管径50~80μmの腫瘍内血管の本数を腫瘍内血管密度として計測できることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
高性能受像体(CMOS:ORCA-Lightning、浜松ホトニクス)を用いた放射光血管造影を前述の5つの領域で実施する。新型コロナウイルス感染症が未だ収束していないために、高エネルギー加速器研究機構での研究時間の確保には、不安定な点がまだ残るが、ORCA-Lightningが空間分解能、濃度分解能、時間分解能に関して優れた機能を有するため、できる限りすべての研究分野で微小血管の造影を実施したい。5つの領域で微小血管における病態を明らかにすることが研究の目的である。領域を再掲すると以下である。①冠微小血管障害、②腎糸球体血流障害、③肺高血圧、④骨格筋、腎末梢血管循環と敗血症、⑤腫瘍微小環境と血管。併せて、コロナウイルス感染症で問題となった微小血栓の可視化にも取り組むことを考慮している。
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