2021 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングによる免疫細胞4次元動態解析を利用した腸管内微小環境の統合的理解
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20H03665
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
筋野 智久 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40464862)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管は栄養素の代謝・吸収を行う臓器であるとともに、病原細菌など外来抗原の侵襲に対しする防御免疫誘導の場であり、感染防御の第一線を担っている。一方で、腸内細菌叢や食物抗原などの常在抗原に対する過剰な免疫反応は、炎症性腸疾患や食物アレルギーなどの自己免疫様疾患を引き起こす。その為、正常腸管では免疫応答を負に制御する細胞集団が存在しており、常在抗原に対する寛容を誘導している。制御性T細胞(regulatory T cells; Tregs)は消化管における免疫制御の中心を担う細胞として知られており、その欠損や機能不全は炎症性腸疾患などの発症につながる。Tregの消化管内での局在や動態については長年不明であった。申請者は2光子顕微鏡を使用することで、腸管粘膜内でTregの局在、動態を解析し、世界に先駆けて報告した(Sujino T. Science 2016)。近年、単一細胞レベルでの免疫細胞の機能解析技術の飛躍的な進歩により、消化管内での多様な細胞の機能的相互作用が解析可能になり、これまで報告されていなかった免疫細胞集団の同定や細胞同士のネットワークが可視化される様になった。本研究では、申請者が確立した2光子顕微鏡を用いた生体内における細胞動態解析技術と単一細胞機能解析技術を組み合わせ、消化管局所におけるTregの機能・局在・動態解析を単一細胞レベルで解析した。炎症性腸疾患において使用される機会があるAhrリガンド含有の生薬が、上皮のAhrシグナルを介してTregの運動能、局在を変化することで炎症を抑制することを見出し国際誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Ahrを中心としたマウスにおける2光子顕微鏡観察が確立し、さらに研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
人の腸管内におけるTregの局在を3D構築し、病態による変化をきたしているかを検討する。さらにオルガノイドと共培養することで細胞間シグナルの詳細な解析を試みる。
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