2020 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス応答と、腫瘍由来fibrocyteに着目する骨髄増殖性腫瘍研究
Project/Area Number |
20H03713
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
下田 和哉 宮崎大学, 医学部, 教授 (90311844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久冨木 庸子 宮崎大学, 医学部, 講師 (00284836)
幣 光太郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (20468028)
亀田 拓郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (30468029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨髄線維症 / fibrocyte / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄増殖性腫瘍(MPN)では、JAK2、CALR変異によるJAK-STATシグナル伝達経路活性化の機序が明確になってきた。一方、CALR変異造血幹細胞 (HSC) のクローン拡大メカニズム、および骨髄線維化のメカニズムに関しては未解明である。本研究では、以下のテーマについて病態解明と創薬につながる研究を行っている。 テーマ1: CALR欠損により生じるERストレスが変異HSCに及ぼす影響の解明と、亢進したERストレスを標的とする治療開発 2020年度は、CALR変異HSCにおけるERストレス経路profilingについて主に実験を行った。CALR欠損、CALRヘテロ欠損、WTの各マウスHSCの遺伝子発現をRNAseqで解析した。また、ERストレス関連分子についてreal-time PCR発現定量を行った。これらの細胞にCALR変異蛋白を発現させたマウスを作成し、解析を進行中である。ERストレスの緩和による治療効果の解析については今年度以降の課題である。 テーマ2: 腫瘍細胞がfibrocyteへ分化するメカニズムの解明と、単球-fibrocyteを標的とした、2次性骨髄線維症早期診断法および治療法の開発 JAK2変異マウス単球の3%がcollagen陽性である。2020年度は腫瘍性fibrocyte、またはその前駆細胞である腫瘍性単球の表面抗原を同定するための実験を行った。表面抗原により分取した単球サブ分画を培養、fibrocyte前駆分画同定を試みた。ある程度の純化は達成できたが、高純度で純化できる正確な同定はこの手法では困難だった。新たな手法の導入が必要と判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ1:CALR欠損により生じるERストレスが変異HSCに及ぼす影響の解明と、亢進したERストレスを標的とする治療開発 CALR変異HSCにおけるERストレス経路profilingについて、マウスモデルの作成と解析を実施することができた。これらのデータ解析を終えると、ERストレスの緩和による治療効果の解析に進むことが可能となる。 テーマ2:腫瘍細胞がfibrocyteへ分化するメカニズムの解明と、単球-fibrocyteを標的とした、2次性骨髄線維症早期診断法および治療法の開発 腫瘍性fibrocyte、またはその前駆細胞である腫瘍性単球の表面抗原を同定するための実験を行った。予定していた表面抗原により分取した単球サブ分画を培養するという手法では、純度の高い分画の同定はできなかった。問題点が明確になることにより、同定のための方法論を再検討することができた。2次性骨髄線維症の早期診断法の確立や、細胞表面分子を標的とする新規治療法の開発といった課題に進む見通しが開けたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1:CALR欠損により生じるERストレスが変異HSCに及ぼす影響の解明と、亢進したERストレスを標的とする治療開発 「CALR変異HSCにおけるERストレス経路profiling」について、順調に計画の進展が得られた。2020年度は、CALR欠損、CALRヘテロ欠損、WTの各マウスHSCの遺伝子発現をRNAseqで解析した。また、ERストレス関連分子についてreal-time PCR発現定量を行った。これらの細胞にCALR変異蛋白を発現させたマウスを作成し、解析中である。得られる結果を踏まえ、2021年度は主に「ERストレスの緩和による治療効果の解析」、「亢進したERストレスを標的とする新規治療法の開発」、についての実験を進めていく。 テーマ2: 腫瘍細胞がfibrocyteへ分化するメカニズムの解明と、単球-fibrocyteを標的とした、2次性骨髄線維症早期診断法および治療法の開発 「Fibrocyte前駆細胞である単球の表面抗原同定」について、2020年度は表面抗原により分取した単球サブ分画を培養、fibrocyte前駆分画同定を試みた。ある程度の純化はできたが、正確な同定は現手法では困難だった。2021年度は手法を変え単一細胞解析なども取り入れ、fibrocyte前駆細胞の同定を試み、fibrocyte前駆細胞特異的発現分子の同定を目指す。 新手法により同定を完了できれば、「2次性骨髄線維症の早期診断法の確立」や、「細胞表面分子を標的とする新規治療法の開発」といった発展的課題に取り組むことができる。
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[Journal Article] Human erythroleukemia genetics and transcriptomes identify master transcription factors as functional disease drivers2020
Author(s)
Fagnan A,Bagger FO, Piqué-Borràs MR, Ignacimouttou C, Caulier A, Lopez CK, Robert E, Uzan B, Gelsi-Boyer V, Aid Z, Thirant C, Moll U, Tauchmann S, Kurtovic-Kozaric A, Maciejewski J, Dierks C, Spinelli O, Salmoiraghi S, Pabst T, Shimoda K , Mercher T
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Journal Title
Blood
Volume: 136
Pages: 698~714
DOI
Peer Reviewed
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