2021 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン依存性女性がん患者由来培養・移植系における病態特異的代謝機構の解明と応用
Project/Area Number |
20H03734
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
堀江 公仁子 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90261982)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 乳がん / 子宮内膜がん / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、女性ホルモン依存性の女性に特有ながんである乳がんと子宮内膜がんについて、患者臨床検体から直接がん細胞を生体に近い3次元スフェロイド系で培養し、そのがん細胞を超免疫不全マウスに移植して腫瘍を作らせ、患者由来女性がんモデルの確立を進めている。このがんモデルを用いて、特にがんの増殖や進行に関わる栄養やエネルギー産生に関わる仕組みを実験的に明らかにする取組みを行っている。がんモデルにおける遺伝子の発現パターン、クロマチンDNAの転写活性化を示すヒストン修飾状態、遺伝発現調節に関連するRNA結合蛋白質の標的RNA解析などを指標として、がん病態において重要な役割を担うことが予想される代謝作用に関わる候補因子を探索する。それら候補因子の発現を増減した際に、がんモデルにおける増殖性や薬剤反応性がどのように変化するか、その際のがん細胞の代謝状態がどのように推移するか等の解析を進めている。これらの知見に基づき、女性がんに対する新しいがん診断・治療・予防法へ活用できる分子を探索し、病型や病期ごとに適したがん戦略の確立を目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に引き続き、倫理基準を満たす乳がん・子宮内膜がん患者由来培養系を用いてトランスクリプトーム解析とクロマチン免疫沈降解析等に基づくエピゲノム解析を進め、代謝作用の面からがん病態に関わる分子を中心にがん診断・治療標的候補分子の同定を進めている。女性がんの病態進行にかかわるRNA結合蛋白質に着目して、それら分子に対する抗体を用いたRNA免疫沈降(RIP)解析とsiRNAを用いたトランスクリプトーム解析を進めており、RNA発現調節の面からがん代謝関連因子・経路の検討を行っている。令和3年度は先進ゲノム支援を受け、倫理基準を満たす女性がん細胞を用いて、各種RNA結合蛋白質に対するRIPシーケンス解析用のサンプルの調整を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
先進ゲノム支援によるシーケンス解析の結果が得られ次第、これまでに得られているトランスクリプトーム解析とヒストン修飾解析と統合的に解析し、がん病態進行に関わりうる候補分子・経路をエネルギー代謝に注目して同定を進める。候補分子・経路に対する発現調節を患者由来がんモデルおよびがん細胞株において行い、がん増殖性・移動性、アポトーシス、呼吸・代謝状態、薬剤反応性等に対する影響を検討し、女性がん特異的代謝ネットワークの解明を目指す。がん治療の候補分子に対しては、核酸製剤や低分子化合物による発現・機能調節により、女性がん病態制御を行うことができるかについて、細胞・動物レベルで検討を行い、臨床応用の可能性を探る
|
Remarks |
「がん三次元培養研究会」は国立がん研究センター、金沢大学、埼玉医科大学を中心としてがん基礎研究発表を行う研究会として活動しており、研究代表者は組織委員会運営に携わっている。
|
Research Products
(27 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 2 型糖尿病治療薬である DPP4 阻害薬は腎がんのチロシンキナーゼ阻害薬治療抵抗性を緩和する2022
Author(s)
鎌田 修平, 滑川 剛史, 池田 和博, 鈴木 貴, 香川 誠, 竹下 英毅, 矢野 晶大, 市川 智彦, 堀江 公仁子, 川上 理, 井上 聡
Organizer
第 31 回泌尿器科分子・細胞研究会
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] ヒトの分子遺伝学2021
Author(s)
監訳:戸田 達史、井上 聡、松本 直通
Total Pages
904
Publisher
メディカル・サイエンス・インターナショナル
ISBN
978-4-8157-3032-1
-
-
-
-