2021 Fiscal Year Annual Research Report
社会的敗北ストレスにより食物嗜好性が変容する脳内メカニズムの解明
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20H03736
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 教授 (10200099)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食物嗜好性 / 視床下部室傍核 / CRHニューロン / AMPK |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、総摂取カロリーを調節する神経回路はかなり明らかとなったが、各種栄養素を摂取する機構は未だに不明である。しかし、ヒトはある種のストレスによって炭水化物を多食する事が知られており(“carbohydrate craving”)、実験動物だけで無くヒトにおいても、ある環境において栄養素を選択的に摂取する機構が働くと考えられる。代表者らは、最近、薬理遺伝学的手法などを用いて、マウス視床下部室傍核CRH (corticotropin-releasing hormone)ニューロンの中にAMPK (AMP-activated protein kinase)制御型CRHニューロンが存在し、このニューロンが炭水化物の摂取を促進することを報告した。また、マウスに社会的敗北ストレスを与えると炭水化物の摂取が増加すること、この作用に同CRHニューロンが必要であることを見出した。本研究では、CRH -Creマウスと核膜タンパク質に蛍光物質を発現させたマウス(R26-CAG-LSL-Sun1-sfGFP-myc)を掛け合わせ、このマウスからCRHニューロンの核を選択的に単離し、核RNAの全配列を調べた結果,HPA軸を制御するCRHニューロンの他、GABAやグルタミン酸を神経伝達物資とすると考えられるクラスターを発見した。この一部のニューロンにAMPKalpha2を多く発現するニューロンも存在した。さらに、様々な神経ペプチドとペプチド受容体を有するクラスターも存在した。加えて、2DGをマウスに投与するとグルコース飢餓状態となり炭水化物の摂取が高まること、これによる炭水化物食の摂取亢進作用に視床下部室傍核CRHニューロンが必須であることを見出した。このCRHニューロンの活性化に孤束核NPYニューロンが関わることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シングル核RNA解析を行った結果、室傍核CRHニューロンは3つの大きなクラスターに分類されることが明らかとなった。一つはHPA軸を制御するクラスターであり、もう一つはAMPKを発現するクラスター、三つ目は神経ペプチドとその受容体を発現するクラスターである。本研究ではこれらのサブクラスターを解析し、各クラスターに特徴的な遺伝子発現を見出した。加えて、2DGによる炭水化物の選択行動に、室傍核CRHニューロンが関与することを初めて明らかにした。2DGをマウスに投与すると炭水化物の摂取が高まることが知られていたが、その神経回路は不明であった。今回、DREADD法、光刺激法、免疫組織化学によってその神経回路を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2DG投与によって引き起こされる炭水化物の選択的摂取行動の神経回路を調べ、AMPKとの関連を明らかにすると共に、社会的敗北ストレスによる炭水化物選択的摂取に関わる神経回路を明らかにしていく。
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[Journal Article] Basigin deficiency prevents anaplerosis and ameliorates insulin resistance and hepatosteatosis2021
Author(s)
Ryuge A, Kosugi T, Maeda K,Banno R, Gou Y, Zaitsu, Ito, Sato Y, Hirayama A, Tsubota S, Honda T, Nakajima K, Ozaki T, Kondoh K, Takahashi K, Kato N, Ishimoto T, Soga T, Nakagawa T, Koike T, Arima H, Yuzawa Y, Minokoshi Y, Maruyama S, Kadomatsu K
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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