2020 Fiscal Year Annual Research Report
易傷害性肝グラフトの至適体外灌流法と非侵襲的グラフト機能評価法の開発
Project/Area Number |
20H03737
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
嶋村 剛 北海道大学, 大学病院, 准教授 (00333617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 原 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (60374344)
藤好 真人 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90844720)
暮地本 宙己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60632841)
杉森 博行 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (20711899)
木村 太一 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90435959) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝移植 / 機械灌流 / 灌流 / 脂肪肝 / 心停止ドナー / 重水 / ミトコンドリア / 機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はラットExpanded Criteria Donor (脂肪肝、心停止肝) を用いた肝移植の術後成績を向上させるグラフト灌流法、コンディショニング法を開発し、術後成績を予測できる移植前グラフト機能評価法を確立することである。その実現のために、メタボローム解析とタンパク質機能解析が不可欠であり、前処理の条件検討を行った。トリクロロ酢酸 (TCA) によりタンパク質解析(沈殿)とメタボローム解析用(上清)の試料を同時に取得した。メタボローム解析用の試料は、LC-MS/MS、NMR、ラマン分光解析に供する目的でそれぞれに至適な条件を検討した。特にNMR、ラマン分光解析は試料のpHが測定結果に影響するため、ジエチルエーテルとの混和によるTCAの除去を繰り返し、安定した測定条件を見出した。これにより、NMR解析は600円/試料、LC-MS/MS解析は6000円/試料程度の費用で測定できる目処が立った (外注では約12万円/試料)。本課題におけるもっとも重要な評価系の一部が確立された。脂肪肝モデルも検討し、肝移植のグラフトとしての検討に資する30-60%の大滴性脂肪肝を安定して作成する方法を確立した。灌流液中のFMN濃度がグラフトのミトコンドリアComplex1の傷害マーカーになることが報告されているが、多くは灌流液の蛍光強度のみの測定であり、同じ蛍光を発するリボフラビン (RF)、フラビンアデニンジモノヌクレオチド (FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド (FAD)由来の蛍光の合算を"FMN"と称している。われわれはこれらの分子をHPLCで分離し、蛍光検出することにより、肝冷保存や体外灌流中のRF, FMN, FAD の漏出を5分以内で定量できるシステムを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19蔓延により、所属機関の出入り制限による動物実験者の不足、動物実験指導のリモート化等の影響があり、動物実験、臓器実験の実験者 (実験協力者の大学院生) の育成ができなかった。また、実績概要に記載した検討も、所属機関の活動制限レベルが刻々と変化し、予定を立てるのが困難な時期が続いたため、不可避な出来事であり、かつ、代替策も無かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずLC-MS/MS解析によって変化を追跡すべき物質を絞り込み、当該物質をNMR解析によってより安価に定量できるかを検討する。また、ラマン分光解析によってホモジナイズのみ、あるいは、凍結薄切のみで定量できるかを検討し、簡便で安価なメタボローム評価系を構築する予定である。proteomics (LC-MS/MS) 解析の前処理も重要であり、PAGEによってタンパク質を展開し、in-gel digestion、あるいは、BAC-PAGE後にGel digestionによって純度の高い試料を得る方法を確立する。これらの基本的な解析手法は動物実験の進捗とは無関係に進められるものであり、予定を前倒しして進めていく。そのうえで、動物・臓器モデルの検討で得られる試料を可及的速やかに測定し、全体としてすべきことを期間内に終えられるように注力する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A Multicenter Japanese Survey Assessing the Long-term Outcomes of Liver Retransplantation Using Living Donor Grafts.2020
Author(s)
Kuramitsu K, Fukumoto T, Egawa H, Ohdan H, Umeshita K, Uemoto S, Hibi T, Kasahara M, Yoshizumi T, Mizuta K, Shimamura T, Furukawa H.
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Journal Title
Transplantation
Volume: 104
Pages: 754-761.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Imaging Mass Spectrometry Reveals the Changes in the Taurine Conjugates of Dihydroxycholanoic Acid during Hepatic Warm Ischemia and Repefusion in a Rat Model2020
Author(s)
Shibata K, Hayasaka T, Hashimoto S, Umemoto K, Ishikawa T,Sakamoto S, Kato K, Shimada S, Kawamura N, Wakayama K, Kobayashi N, Hama Y, Fukai M, Shimamura T, Taketomi A
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Journal Title
Transplantation Proceedings
Volume: 52
Pages: 1880-1883
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] De novo hepatocellular carcinoma developing in the living donor liver grafts: A Japanese multicenter experience2020
Author(s)
Goto R, Kosai-Fujimoto Y, Yagi S, Kobayashi T, Akamatsu N, Shimamura T, Imura S, Ogiso S, Mizuno S, Takatsuki M, Fukuhara T, Kanto T, Eguchi S, Yanaga K, Ogura Y, Fukumoto T, Shimada M, Hasegawa K, Ohdan H, Uemoto S, Soejima Y, Ikegami T, Yoshizumi T, Taketomi A, Maehara Y
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Journal Title
Hepatol Res
Volume: 50
Pages: 1365-1374
DOI
Peer Reviewed
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