2020 Fiscal Year Annual Research Report
胆管癌における、静止期癌幹細胞維持を破綻させる治療開発
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20H03756
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
片寄 友 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (20302151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 久仁治 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00375073)
高見 一弘 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (30823728)
玉井 恵一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (40509262)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌は、現在においても有効な治療手段に乏しい難治性がんである。近年、静止期癌幹細胞が治療抵抗性の要因であると考えられているが、その分子機構のほとんどが不明である。私たちは、胆管癌における治療抵抗性の要因をスクリーニングした結果、BEX2が癌細胞を静止期癌幹細胞に変質させることを見いだした。興味深いことに、BEX2はTUFMと共働でミトコンドリアの酸化的リン酸化を抑制し、癌細胞を低エネルギー状態に遷移させ、細胞周期を停止させることが判明した。BEX2をノックダウンすると、静止期から離脱して、癌幹細胞の形質が著しく減弱した。このことから、BEX2関連経路を狙えば、静止期癌幹細胞を非癌幹細胞に変質させる治療が可能であると考えた。 本年度はBEX2タンパクを減少させ、がん幹細胞性を減弱させる化合物の同定を行った。BEX2タンパク量をルシフェラーゼでモニターできる細胞株を樹立し、high throughputスクリーニングの系を確立した。9600化合物のライブラリを作用させ、ルシフェラーゼが減少する化合物をスクリーニングした。その後、ウェスタンブロット・細胞周期測定・細胞内ATP測定によって化合物の絞り込みを行った。その結果、1種のヒット化合物を得た。同化合物を細胞に作用させると、BEX2タンパクが減少し、細胞周期における静止期が減少し、抗癌剤感受性が上昇することがわかった。これによって、BEX2ががん幹細胞形質維持の鍵となる分子であり、治療標的となることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、胆管癌だけでなく、他癌種においてがん幹細胞の形質維持に関わる経路を同定し、治療標的の可能性を広げる。また、マウスモデルを用いて検証を行い、臨床応用の可能性を探る。
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Research Products
(2 results)