2020 Fiscal Year Annual Research Report
Light elicited circadian re-entrainment as a treatment for post-sepsis cognitive impairment
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20H03783
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小山 淑正 大分大学, 医学部, 助教 (40468012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴井 博文 大分大学, 医学部, 教授 (20291544)
徳丸 治 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (40360151)
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 敗血症 / 光療法 / 概日リズム / 認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は致死的病態であるだけでなく、生存回復しても、日常生活に支障をきたすような機能障害を残す患者が多いことが問題である。このように、敗血症は発症率、死亡率が高いだけでなく、生存者にも解決すべき問題が多い病態である。特に、敗血症後の認知機能障害は長期予後を複合的に悪化させる因子であるが、未だに有効な治療法は見出されていない。 概日リズムは、覚醒、ホルモン分泌、認知などの生理的機能を調整しており、生体の恒常性維持に欠かせないものである。また、概日リズムは高血圧、糖尿病、心筋梗塞発症に影響を与えることが知られている。逆に、疾患自体が概日リズムを乱し、病態を悪化させるといった悪循環を形成することも指摘されており、敗血症も例外でない。 われわれは敗血症後の認知機能障害は敗血症により引き起こされた長期にわたる概日リズムの乱れが一因であると考えられている。われわれは概日リズムの是正により認知機能障害を治療できるのではないかと仮説を立てた。“光”は概日リズムを形成する重要な調整因子である。本研究ではまず、マウス敗血症モデルによる海馬炎症モデルの作成を目指し、研究を進めている。さらに、マウス敗血症モデルに対し、概日リズム是正を目的とした光治療の方法の確立を目指す。本研究を通して、概日リズムと敗血症後の認知機能障害との関係ならびにその機序を明らかにするとともに、光治療の臨床応用につなげることを目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
盲腸結紮穿刺による敗血症モデルを作成し、敗血症発症後の海馬の炎症評価、認知機能に及ぼす影響を検討した。敗血症後4週間後まで海馬に炎症反応が残存することを確認できた。しかし、光療法による炎症への影響の評価には、腹腔内に残存する壊死組織・膿瘍形成が炎症の評価を複雑にすることが判明し、腹腔内膿瘍を形成しない代替モデルでの検討する必要が生じた。代替の敗血症モデル確立に取り組み、盲腸結紮穿刺モデルと同様に敗血症後数週間炎症が残存するモデルを確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
代替の敗血症モデルを用いて、光療法による海馬の抗炎症効果を検証し、最適な光療法の確率を目指す。さらに、敗血症後認知機能障害への評価を進め、RNAマイクロアレイ解析や海馬の質量分析イメージングによる代謝マッピングを用いた網羅的検討も行うとともに、認知機能に関わる代表的経路かつ時計遺伝子リズム依存性の経路を重点的に検討する。
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